ストーリーとしての競争戦略とは?
・ 戦略とは競合他社との違いをつくることである。競争の中で業界平均水準以上の利益をあげるには、競合他社との違いが必要である。
個別の違いがつながり、相互に作用する中で持続的で強力な競争優位が出来上がる。ストーリーとしての競争戦略は「つながり」に軸足を置いた視点であり、違いを生み出すための企業の「打ち手」の因果関係や論理に注目するものである。
優れた戦略ストーリーを組み立てるには?
・ 同じサッカーをするにしても、他社と違うパス回しの流れを確立すれば、競争優位を獲得できる。ストーリーが優れているとは、パスが縦横にきちんとした因果論理でつながっていることを意味する。
・ 優れたストーリーをつくるためには、本質的な顧客価値を捉えたコンセプトが何よりも重要となる。起点が空疎であれば、それに続けてどんな打ち手を繰り出したとしても良いストーリーはできない。
そして、他社との違いを構成する要素に一貫性を持たせ、ストーリーをつくる事が競争優位につながる。一貫性から生まれる競争優位は、構成要素の交互効果により、強力になる。
・ 違いをつくっても、それがすぐに他社に模倣されるものであれば、一時的な競争優位を獲得できても、すぐに違いがなくなり、競争優位は持続しない。「一見して非合理」というクリティカル・コアは競争相手が模倣しようと思わない点で持続的な競争優位を得る論理である。
部分的な非合理を他の要素と組み合わせて、ストーリー全体で強力な合理性を獲得する事ができれば、競争優位を長い期間、持続することができる。
この本では様々な企業の事例を用いて、面白い戦略ストーリーを分かり易く紹介している。優れた競争戦略とは何かについて、学ぶには最適な一冊である。