ホワイトスペースへ進出する必要がある理由
毎年同じことを繰り返すだけで企業が永続に繁栄できた時代は終わっている。いずれ、既存の商品の市場規模が拡大しなくなり、業務の効率化や改善に限界がくる。
市場で売られる商品やサービスの大半が機能性、信頼性、利便性の三つの側面で、顧客のニーズを満たすと、市場は完全にコモディティ化する。そして競争は価格面に絞られる。競争の基準が利便性や価格に移ると、企業は既存のビジネスモデルの限界にぶち当たる場合が多く、ビジネスモデルのイノベーションが必要になる。
そのため、自社の中核となる事業領域「コアスペース」から、既存ビジネスの周辺領域「隣接スペース」や全くの新しい領域「ホワイトスペース」に進出する必要が出てくる。
ホワイトスペースで成功するために必要なこと
これまでとは異なる新しいスキル、強み、新しい手法を用いること。自社が実践している「ビジネス理論」にイノベーションを起こす必要がある。そのプロセスが「ビジネスモデル・イノベーション」である。
なぜビジネスモデル・イノベーションに失敗するのか
企業のほとんどが新規事業に失敗するのは、正解だと立証できていない行動を取ることを恐れるからである。業界で確立されているパターンに適合しない行動を避けようとする。つまり既存のビジネスモデルの強みを生かそうすることで、逆に新しいビジネスを創造できない。
成功するビジネスモデルを創るには
成功するビジネスモデルは4つの要素で構成される。
1 顧客価値提案
2 利益方程式
3 主要経営資源
4 主要業務プロセス
「顧客価値提案」は、顧客が解決すべき「ジョブ(用事)」をそれまで以上に有効、便利、または安価に提供すること。成功するためには、シンプルでエレガントであること。一度にたくさんのジョブを解決しようとすると成功しない。まずは顧客の未解決のジョブを探し、それを満足させる事が大切。
「利益方程式」は、企業が自社と株主のために利益を確保する仕組みのこと。顧客価値提案を実現しながら、利益を出す方法を考える必要がある。
「主要経営資源」と「主要業務プロセス」は、企業が顧客と自社に価値をもたらす手だてとなるもの。想定した利益方程式の範囲内で、顧客価値提案を実現するには、どのような人材、技術、商品、設備、資金、流通経路、ブランド等が必要かを検討する必要がある。
成功している企業は、すべての要素が統合された有効なビジネスモデルで顧客のジョブを解決している。これら4つの要素がビジネスモデル・イノベーションの設計図となる。この設計を基に試行錯誤を繰り返し、ホワイトスペースで成功する確率を高める。