記憶に焼き付くアイデアには6つの共通原則がある。
単純明快である
人が一度に把握し、覚えられる情報量には限りがある。「単純明快である」とはアイデアの核となる部分を見極めることである。最も大切な見識を際立たせるため、多くの見識に優先順位をつけ、切り捨てる必要がある。
アイデアは情報量を減らせば減らすほど、記憶に焼き付きやすくなる。但し、簡潔なだけで良いという訳ではなく、そのメッセージは核心を付いている必要がある。
意外性がある
人間の脳は変化に敏感にできている。関心をつかむ最も基本的な方法は、パターンを破ることである。人間は一貫したパターンがあると、すぐ順応する。同じ感覚的刺激を繰り返し受けると、それに注意を払わなくなる。
相手の興味を持続させるには、予想を裏切る必要がある。驚きという感情には、警戒感と集中力を高める機能がある。相手の知識に意図的に「隙間」をあけ、その隙間を埋めれば、好奇心をつなぎとめることができる。つまり、謎かけをし、相手が知らないことを指摘することで、興味を生み出す。
具体的である
もともと記憶に焼き付きやすいアイデアは、具体的なイメージを備えている。脳は具体的なデータを記憶するようにできている。抽象的表現では、人にとって全く違う解釈をすることがあるから、他人の行動と調和させるのも難しくなる。
信頼性がある
アイデアを記憶に焼き付けるためには、アイデア自体に信頼性がなくてはならない。信頼性を高めるには次の3つの方法がある。
①細部を鮮明に描写する。
②統計を利用する。
③それだけで、その分野全体に通用する信頼性を確立できる事例を用いる。
(ホワイトハウスの式典で料理の注文が取れれば、どこからでも注文が取れる等)
感情に訴える
感情は人々を行動へと駆り立てる。感情に訴えるには次の方法がある。
①相手が心にかけていないものと、既に心にかけているものの間に関連性を持たせる。
②相手の自己利益に訴える。
③アイデンティティに訴える。
物語性がある
アイデアを行動に移してもらうには、物語を伝えればいい。物語には、シュミレーション(いかに行動すべきかという知識)と元気付け(行動する意欲)の2段階の効果がある。
物語は抽象的な文章に文脈を与え、アイデアにひっかかりを持たせることで、記憶にくっつきやすくする。
6原則を妨害するもの
一度何かを知ってしまうと、それを知らない状態がどのようなものか、想像できなくなること。これを「知の呪縛」と呼ぶ。こうなると、自分の知識を他人と共有するのが難しくなり、聴き手の気持ちがわからなくなる。
「知の呪縛」を逃れるには、以下の2つの方法がある。
・何も学ばないこと
・自分のアイデアをつくり変えること