投資家はいる。不足しているのは、ベンチャーをやろうというヤツらだ
日本は起業家に対して冷たく、ベンチャー企業が資金調達をするのは難しいと思い込んでいる人がいる。しかし、不足しているのは、「資金量」ではなく「ベンチャーをやってみようというヤツら」である、と著者は言う。
現在、日本のベンチャー企業への投資額は、米国などの諸外国に比べると極めて小さい。しかし、著者によれば「イケてる」ベンチャー企業の情報は、イケてるルートを通じてイケてる投資家に伝わっており、結構な投資が行われているというのだ。
イケてるベンチャーとは、イケてるネットワークを持っている事
イケてるベンチャー企業とはいかなるものか? それは、Facebookやミクシィ等も含まれる「ソーシャルグラフ(法人、個人を含めた友達の輪)」、それもイケてるソーシャルグラフに入り込む事ができるベンチャー企業だという。資金を出してくれる人に辿り着いたり、優れた人材を見つけ出したり、顧客を獲得したりする能力は、イケてるネットワークを通じてもたらされるのだ。
ベンチャー企業にとって、最も大切な事は「スピリッツ」
そして、ベンチャー企業にとって、最も大切なことは「アニマル・スピリッツ」であると説く。アニマル・スピリッツとは、「お金持ちになりたい」といった利己的な欲望ではなく、「世界を変えてやる」「自分で作ったサービスを世の中に広めたい」といったもので、このスピリッツこそがベンチャー企業にとって、強い成長のエンジンとなる。
今、日本にはアニマル・スピリッツが不足している。「イケている」起業を増やし、ベンチャー企業への投資を増やし、ベンチャー企業を取り巻く環境を大きくしていく事が日本に活力を生むことにつながる。
起業を志す者、サラリーマン社会に疲れた者に必読の書
イケている起業を増やすため、本書では起業にあたって必要なファイナンスの知識を、ベンチャー実務に携わるプロの視点からわかりやすく解説している。「会社の始め方」「事業計画の作り方」「資本政策の作り方」「ストックオプションの活用方法」「投資家との交渉」・・・、これら知識がないばかりに失敗しているベンチャー企業の例も多い。
この1冊は起業を志す者、サラリーマン社会に疲れた者、就職活動に苦戦する学生など、就職以外の選択肢を知る上でも、必読の書である。