なぜ無料のビジネスが成り立つのか
Google、Firefox、リナックス、Facebook。ウェブの世界では無料でサービスを提供しているにも関わらず、大金を稼いでいる人々がいる。21世紀の無料(フリー)は、20世紀のものとは違う。アトム(原子)からビット(情報)に移行することで、限界費用(コスト)が限りなくゼロに近づき、無料のビジネスモデルが成立する。
これまでの無料サービス
・カミソリ本体無料、替え刃は有料
・携帯電話の本体無料、通話料有料
・コーヒーメーカー無料設置、コーヒーパック有料
ビット経済の特徴
オンラインの世界であるビット経済では、ものは安くなり続ける。これは、コンピューターが大規模集積化することで情報処理能力、記憶容量が飛躍的に大きくなり、通信帯域幅が速くなることで起こるもので、コストは限りなく無料に近づいている。アトム経済では、コストがゼロにならないため、何か他のものでお金を払わなければならないが、ビット経済では無料は本当にタダである。
無料のビジネスモデル4つの分類
①直接的内部相互補助・・・他のモノを売ることで成り立つ。
ex.ウォルマートのDVD割引キャンペーン。DVD以外のモノも売れる。
②三者間市場・・・二者間は無料で交換し市場を作り、第三者が参入コストを払う。
ex.テレビやラジオなどの無料メディア。 広告収入によって収益を得る。
③フリーミアム・・・無料版と有料版を提供する。
一般的に5%の有料ユーザーが無料ユーザーを支える。
ex.無料電話のスカイプ。拡張機能を有料で売る。
④非貨幣市場・・・対価を期待しない。
ex.ウィキペディア
フリーが武器となる
今日、市場に参入するもっとも破壊的な方法は、既存のビジネスモデルの経済的意味を消滅させることである。既存のビジネスが収益源としてる商品をタダにする。すると、顧客は新規参入者のところへ押しかけるので、別のモノを売れば良い。フリーはモノやサービスを最大数の人々に届ける最良の方法である。
Googleはこれを最大化戦略と呼んでいる。限界費用がゼロなので、どこにでもモノを配ることができる。
無料のルール
①デジタルのものは、遅かれ早かれ無料になる
②アトムも無料になりたがるが、力強い足取りではない
③フリーは止まらない
④フリーからもお金儲けはできる
⑤市場を再評価する(無料にすることで、別の周辺市場を見つける)
⑥ゼロにする(無料にすることで何ができるか考える)
⑦遅かれ早かれフリーと競いあうことになる
⑧ムダを受け入れよう
⑨フリーは別のものの価値を高める
⑩稀少なものではなく、潤沢なものを管理しよう