現状を維持したがる
一方のグループは、安価だが基本的機能はついている携帯電話を使っている。もう一方のグループは、値段は高いが豊富な機能のついた携帯電話を使っている。どちらのグループも、他グループの携帯電話に買い替えたいか質問したところ、多くの人が現状維持を選んだ。
すでに投資したことに制約される
問1
スキー旅行を予約した。しかし、当日は寒くて風も強く、雪が降っていた。家から一歩も出たくないのに、お金はもう支払っている。
A:スキーに行く
B:温かい家で過ごす
問2
問1と同じ設定で、今度はスキー旅行がプレゼントだったとする。
A:スキーに行く
B:温かい家で過ごす
多くの人が、問1ではしぶしぶ寒さの中出かけるが、問2では家で温かくしていることを選ぶ。人はお金を捨ててしまったと思いたくない。すでに投資した方に気をとられ、将来の利益を考えられなくなる。
先入観で判断してしまう
問1
リンダは31歳。シングルでとても頭がいい。哲学科を卒業したが、学生の頃から人権や社会正義の問題に熱心に取り組み、戦争反対のデモにも参加していた。次の項目を可能性の低いものから並べよ。
A:リンダはグローバル化反対の活動家である。
B:リンダは銀行員である。
C:リンダは銀行員でグローバル化反対の活動家である。
大多数の人がBよりAの可能性が高いと判断する。しかし、Cはその中間、Bよりも可能性が高いとする。しかし、BとCを比較した場合、Cの中には当然Bが含まれており、Bの方が可能性が高いことになる。私たちは典型的なモデルを頼りに誤った結論を出してしまう。
見方で答えが変わる
問1
A:3万円が確実に儲かる
B:15万円が儲かる確率25%、まったく儲からない確率75%
問2
A:10万円を確実に損する
B:15万円を損する確率75%、損失ゼロの確率25%
多くの人が、はじめの質問にA、次の質問にBを選ぶ。どちらも期待値では逆が有利である。しかし、選択肢が得する額で示されると確実な方を選ぶ。反対に損する額で提示されると、確実な損失より、損失が大きいかゼロの確率に賭ける。
損失を回避しようとする
ニューヨークのタクシー運転手は、毎日の売上目標に達すると仕事をやめていた。雨のような客が多い日には、すぐに目標を達成し、さっさと仕事を引き上げる。しかし、経済的観点からすれば、運転手は売上が多い日によく働き、少ない日にはさっさと引き上げて自由時間を楽しむべきである。
タクシーの運転手は、売上目標に達成できないと損失と考え、長く働こうとする。人間は損したことを得したことよりも大きく捉える。