養老孟司
具体的な目標のなかった世の中に、震災がきっかけでやることがいくらでもでき、精神的な復興需要のようなものが生まれる。生きていれば、さまざまな悪いことが起こる。しかし、何かあったときは最終的にプラスになるように考えるしかない。
茂木健一郎
日本人は今、自らの真価を問われている。今回の震災で、日本人は必ずしもルール、コンプライアンスを神経症的に守り、追求するだけではないということが明らかになった。私達の「生きる本能」がよみがえった。そこで大切なのは、枝葉末節にこだわる学級委員的マインドセットではなく、生きるために必要な本質を見抜く、プリンシプルである。
山内昌之
私欲があってはいけない。公欲が無くなってもいけない。公欲が無ければ、人を許すことも出来ない。私欲があれば、物事に思いやりを持つことも出来ない。私欲は小利につながり、公欲は大利に通じる。
南直哉
この国を今後どうしようとするにしても、それには、生き方を変えるような「切実な志」が必要とされるだろう。次の志を根底において支えるのは、禅師の言う「無常」であり、あるいは我々の「無力」の、身にしみるような自覚である。
大井玄
震災では、平均的な日本人の倫理意識が貧しい閉鎖系に適した形で健在であることが明らかになった。復興には、勤勉とともに、必ず他社とのつながりを強化する無私の行為、他者への献身が必要となる。
橋本治
二酸化炭素の排出量を減らし、原発を作って電力の供給量を増やすということもせず、それでも工業国として成り立っていて、第一次産業とのバランスが取れていて、国土が疲弊せずにあるという、近代以降、世界の何処の国でもやったことが無いことを実現させる以外に復興の道はない。
瀬戸内寂聴
私たちはどんな不幸の中でも決して絶望してはならない。暗闇の空に希望の星を見出す力を人間は与えられてここまで生きてきた。
曽野綾子
どんなに社会が整備されても、その人が不幸なら、人生は失敗なのであるという視点を失ってはいけない。
阿川弘之
日本の若い人たちが、自分たちの力でもう一度この国を立ち直らせて、与えられた平和と繁栄ではなく、自分自身の手で国の独立を守り、千年に一度の災厄から立ち上がることが出来たら、その時こそ誇りと自信にあふれたすばらしい伝統文化を持つ一流国家になり得る。国民ひとりひとりがそれを真剣に考えて、実行しなければならない。