「リトル・ピープル」というのは村上春樹の「1Q84」に登場する超自然的な存在であり、情報ネットワークという社会構造を表している。この本では村上春樹が「リトル・ピープル」という概念に込めたものを考えるところから出発し、現代日本のポップカルチャー(ウルトラマン、仮面ライダー)の分析を行い、時代の背景や変化を解説している。
グローバル/ネットワーク化により、世界構造は変化した。
世界は、システムを物語化する巨大な単数の疑似人格=ビッグ・ブラザー(国民国家やマルクス主義)で秩序が決定される世界から、非人格的システム(グローバル経済や情報ネットワーク)の生むゲームボード上で無数のリトル・ピープル=プレイヤーたちが無数に乱立する世界へ移行した。
リトル・ピープルの時代―、そこに出現しているのはいわば否応なく小さな父たちとして機能する人々が無限に連鎖する世界である。
そのゲームの中に渦巻く想像力は<ここではない、どこか>へ私たちを連れていくことはない。その代わりに<いま、ここ>にどこまでも潜り、多重化し、拡張していくことができる。私たちには、現実を書き換える/拡張するための想像力が求められている。
著者 宇野 常寛
1978年生まれ。評論家 企画ユニット「第二次惑星開発委員会」主宰 カルチャー総合誌「PLANETS」編集長 大学在学中の2002年2月頃に友人らとともにウェブサイト「惑星開発委員会」を立ち上げ、オタク系文化などのポップカルチャー批評を行う。「惑星開発委員会」は1年ほどしてメンバーの卒業などからいったん解散するが、大学卒業後、会社員をしながら2005年に「第二次惑星開発委員会」を立ち上げ、2005年12月にミニコミ誌『PLANETS』を発刊。 2008年に刊行されたデビュー作『ゼロ年代の想像力』は、現代の文化動向を日本思想史上に位置付け総括するものとして高く評価された。 「思想地図 vol.4」、「朝日ジャーナル 日本破壊計画」など思想誌、批評誌に参画。 2011年4月より東京大学教養学部(駒場キャンパス)にて自治会自主ゼミ「現代文化論」を担当。
日本経済新聞 文芸評論家 安藤 礼二 |
日経ビジネス Associe (アソシエ) 2011年 10/18号 [雑誌] |
BRUTUS (ブルータス) 2012年 1/15号 [雑誌] |
週刊 東洋経済 2011年 9/17号 [雑誌] |
情報考学 Passion For The Future 橋本 大也 |
日経ビジネス インテリジェンス社長 高橋 広敏 |
エコノミスト 2013年 1/8号 [雑誌] 慶応義塾大学教授 小熊 英二 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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序章 「壁と卵」をめぐって | p.1 | 20分 | |
第一章 ビッグ・ブラザーからリトル・ピープルへ | p.31 | 81分 | |
第二章 ヒーローと公共性 | p.155 | 137分 | |
第三章 拡張現実の時代 | p.365 | 42分 | |
終章 石巻のリトル・ピープル | p.429 | 8分 |