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2011/12/26更新

リトル・ピープルの時代

414分

10P

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ビッグ・ブラザーの死からリトル・ピープルの時代へ

村上春樹がその小説『1Q84』で提示した歴史観―ビッグ・ブラザーからリトル・ピープルへ―、は大枠においてはグローバル/ネットワーク化による世界構造の変化を指している。世界は、システムを物語化する巨大な単数の疑似人格=ビッグ・ブラザー(国民国家やマルクス主義)に対する距離感で秩序が決定される世界から、非人格的システム(グローバル経済や情報ネットワーク)の生むゲームボード上で無数のリトル・ピープル=プレイヤーたちが無数に乱立する世界へ移行した。


ウルトラマンとはビッグ・ブラザーであり、仮面ライダーとはリトル・ピープルである

戦後を代表するヒーロー番組『ウルトラマン』は、戦後の文化空間において「安保体制の寓話」として機能した。戦時下の戦意高揚映画をそのルーツにもつ円谷怪獣映画は、怪獣=軍隊という比喩的な想像力を戦後の文化空間に定着させた。
一方、第2次怪獣ブーム、別名「変身ブーム」の新の主役となったのが『仮面ライダー』だった。世界に内在し、悪に悪の力をもって立ち向かう新しいヒーロー、戦後的な政治性に縛られていたウルトラマンとは異なる脱政治的なヒーローを演じるのが仮面ライダーだ。

資本と情報ネットワークの下、各人がそれぞれの正義を抱えて乱立するこの新しい世界は「仮面ライダー同士のバトルロワイヤル」として私たちの前に登場した。
誰もが小さな父であり、小さな正義を抱えるこの世界を、仮面ライダーたちは永遠に殺し合うことで実現した。ウルトラマン=ビッグ・ブラザーが死んだあとに、仮面ライダー=リトル・ピープルたちのバトルロワイヤルがはじまったのだ。

想像力が求められている

リトル・ピープルの時代―、そこに出現しているのはいわば否応なく小さな父たちとして機能する人々が無限に連鎖する世界だ。世界をひとつにつなげた貨幣と情報のネットワークはこうしている今も、圧倒的な速度で進化している。この圧倒的な速度を奪い取り、現実を書き換える/拡張するための想像力が今、私たちに求められている。