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2011/12/04更新

インド財閥のすべて (平凡社新書)

174分

6P

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財閥の定義

財閥とは「家族または同族によって出資された親会社(持ち株会社)が中核となり、それが支配している諸企業(子会社)に多種の産業を経営させている企業集団である。大規模な子会社はそれぞれの産業部門において寡占的地位を占める」と定義される。

つまり、財閥の条件は①同族支配、②多角化、③大規模(寡占)となる。

インドの財閥

2010年度、インドでは一人あたり国民所得が1000ドルを超えた。一般的に「1000ドル超え」は諸条件を満たしている場合、「高度経済成長の入口」とされる。

インド経済の主役は「財閥」という少数の家族達である。一説によれば「GDPの6、7割は財閥によって生み出されている」とまで言われている。

インドを代表する株式指数「SENSEX指数」を構成する30の企業の内、財閥の3条件を満たすものは6割にのぼる。「多角化」という条件を除けば8割近くとなり、残りの多くは国営企業がIT企業である。

インドの「富裕家族資産」(2010年)の1位は、タタ家1兆8400億ルピー(約3.5兆円)、2位はムケシュ・アンバニ家族1兆5800億ルピーとなっている。さらに1000億ルピー以上の家族が22もいる。
インド富裕層世帯の資産は、2020年には合計2兆9500億ドルに達すると見込まれ、富裕層資産の成長率は世界で最も高いとされるが、これらは人口比で0.3%である。

インドの財閥は、最大のタタ、ビルラ、リライアンスという「三大財閥」と「中堅財閥」に分けられる。それぞれ歴史と共に興亡を繰り返している。

成功している財閥には次の特徴がある。

・外資との提携
・技術獲得への高い関心
・戦略国策と一致
・斜陽産業からの早期撤退
・新産業への早期参入
・財務戦略の上手さ
・同業でのM&A
・選択と集中
・継承者教育

1990年代の経済開放後は「国策と戦略が一致しているかどうか」が成功要因であった。業種の規制緩和による新規参入、外資規制緩和による外資提携、インフラ振興策によるインフラ事業への参入である。

インド財閥の起源

インド財閥の起源は、ボンベイ、カルカッタの2大都市で隆盛した「商人コミュニティ」にある。彼らはコミュニティの先達から商売を学び、資金を融通し助け合い、その信頼とネットワークによって成功していった。
インド商人は、東インド会社、英国商人、インド政庁などの英国の権威を上手に捉えて大商人となる。

1847年の恐慌時に財務内容が悪化した東インド会社は、金融業務を縮小させていった。この弱体化は「植民地金融の自由化」につながる。インド商人たちは、金融と法の力によって資金調達を行い、工場に投資し、紡績業に進出していった。これが商人から財閥への転換のはじまりとなった。