5つのディシプリン(訓練)
学習することができる組織を作るうえで、5つのカギが必要不可欠である。
①システム思考
5つの学習ディシプリンの全ての根底をなす概念的土台。パターンの個々の部分ではなく、全体を明らかにし、それを有効に変えていく枠組のこと。そのカギは、発想の転換にある。
・原因、結果の線的つながりではなく相互関係を把握すること。
・断片ではなく変化の過程を見ること。
重要な点は、レバレッジの原則、つまり構造のどこに働きかけ、どこを変えれば、決定的かつ持続的な改善へとつなげるかを把握すること。
②自己マスタリー
個人の視野を常に明瞭にし、学習を深めていくこと。大切なことは、生活の中で創造的な緊張状態(ビジョンと現実の間にあるギャップ)を作り出し、高い学習意欲を維持する方法を学ぶこと。
③メンタル・モデルの克服
心に固定化されたイメージや概念を精査し、見直すすべを学ぶ必要がある。
④共有ビジョンの構築
ビジョンは人を活性化させる。活気を生み出し、組織を凡庸さから引き上げる興奮を作り出す。大切なことは、個人のビジョンを共通のビジョンに変容させることである。
⑤チーム学習
個人ではなくチームが学習の基礎単位であり、チームが学べなければ、組織は学ぶことが出来ない。学習するチームになるためには、意見交換とディスカッションの間を行ったりきたりする動きをマスターする必要がある。
企業の抱える7つの学習障害
①職務=自分
組織の構成員が自分の職務だけに気を取られ、すべての職務が関連しあって生まれる結果に対する責任が薄れてしまう状況。
②敵は向こうに
問題の原因が外部にあると誤解する、「職務=自分」症候群、およびそれで育まれる非システム的世界観の副産物。
③積極策の幻想
困難な問題に直面すると、攻撃に出なければならないという強迫観念に駆られやすい。しかし、外的に強気で対応することと、積極的に対応することは同義ではない。
④個々の出来事にとらわれる
人々は短絡的出来事に支配されやすい。しかし、会社の生き残りにとっての中心的脅威は、不意の出来事からではなく、徐々にゆっくり進行するプロセスからくる。
⑤ゆでられた蛙の寓話
重大な脅威をしばしば隠している緩やかなプロセスを見落としやすい。
⑥体験から学ぶと言う錯覚
人は経験から最も多くのことを学ぶが、重要な決定の場合は大抵、その帰結を直接的には経験できない。
⑦経営チームの神話
経営陣はあやふやな姿勢や無知に見える不体裁から身を守るため、自分達を脅かしかねない新しい見解を締め出す、熟練した無能集団となる。
ラーニング・オーガニゼーションのための5つのディシプリンは、こうした学習障害の解毒剤として作用しうる。