幸福度を高める社会貢献
幸せを感じるためには「身近な他者に対して手助けをすること」である。誰かのためになることをしたいと考えている人に「幸せだ」と考えている人が多い。しかも、例えば地球環境全体、人類全体のことを考えて貢献しようという人よりも、自分の身の回りで、自分にできることから始めていこうという人が、幸せになる度合いが高い、と分かっている。
人々の幸福度を高める適切な範囲でのかかわりには、次の4つの要素がある。
①他者への貢献
身近な家族や友人など「身内にだけ手助け」という態度ではなく、たまたま関わりを持った「多生の縁」の人に何かをしてあげる。このような支援ができる事が幸福度を高める。
②広範囲で協力
日常生活においては、身近に生活の延長線上でできる社会貢献に目を向ける方が現実的である、遠方ばかり気にして、身近な人たちへの貢献をおろそかにしていると、逆に幸福度が上がりにくい。
③モノより心
「モノより心」とは、具体的には「お金にならない貢献について考えられるか」である。例えば、寄付以外にも被災地の子供たちと遊んであげるといったものも、額面で測れない貢献である。
④次世代志向
誰かのために今お金を出す訳でも、すぐに結果が出る訳でもないけれど、未来のために活動しようというのが「次世代志向」の貢献である。地域社会の環境づくりなどがこれにあたる。
4つの要素いずれにおいても、身近な人のことばかり考えている人は幸福度が下がる傾向にあり、遠くのことを考えている人よりも、手の届く範囲での貢献を考えている人の方が、より幸福度が上がる。
SQ(Social Quotient)
幸福度を高めるような他者へのかかわりの力を表す指数を「SQ」という。調査の結果「SQが高い人は幸福な人である」という知見が得られた。SQの高い人には以下の特徴がある。
・地域社会とかかわりを持つ事に積極的で、環境への意識も高い
・社会貢献を理念として捉えるだけでなく、実際の行動や消費を通じて実践している
・グローバル志向よりもローカル志向が高い
少子高齢化、過疎化といった日本が抱える問題を考えるには、地域社会の構築、再編が重要となる。その際に鍵となるのが人々のSQマインドである。SQ的なコミュニケーションが発生する街、クルマ、商業施設など、これらをどうやって社会に配置していくか。それらを多くの人が共有することで、社会の在り方は変わっていくはずである。