メッセージを共有し共感させる
孫正義は、プレゼンテーションの達人といわれる。孫正義は、多くの来場者に対して訴えるためだけでなく、一対一の交渉の場面でもほとんどの場合、プレゼンテーションを行う。そして、その相手は、不思議なほど説得されてしまう。創業から30年余りで売上高3兆円となったソフトバンクの快進撃は、孫正義のプレゼンテーションの力によるものと言っても言い過ぎではない。
プレゼンテーションは「メッセージを共有し共感」するための最良の手段である。孫正義のプレゼンテーションでは、一般的な経営戦略論の枠組みに従って、自社の強みや弱みを説明することなどしない。その代わり、その事業の「歴史的な必然性」を訴える。その事業が社会にとってどのような価値があるのかを訴えることで「共感」を呼ぶ。
孫正義流のプレゼンテーションのコツ
・全体のメッセージをシンプルで骨太にする。
情報を徹底的に集め、枝葉を除去し一番太い幹になるものだけに絞り込み、急所を見つける。メッセージを戦略に従い、入念に検討しシンプルに整える。
・メッセージは長くても20文字程度にまとめる。
メッセージはただ短くすればいい訳でなく、最も重要なメッセージを抽出する。
・可能なかぎり、スライドのメッセージを裏付ける数字を入れる。
数字は時系列や競合と比較して意味を伝える。
・商品やサービスを「歴史的な必然」として説明する。
人々に「歴史的な必然」を感じてもらうためには、過去の歴史の底流に流れている法則を発見することが重要である。
・プレゼンを行う人が「主」で、スライドは「従」
プレゼンで重要なことは、話し手の「口頭での言葉」「ジェスチャー」「アイコンタクト」である。
・1スライド、1メッセージ、1イメージ
孫正義のプレゼンでは、イメージがスライドの過半を占めることが多い。「論理よりもまず感情を刺激するべき」と考える。
孫正義流のプレゼンテーションの作り方
・ホワイトボードで原案を作る。
・ディスカッションをしながら複数人で作る。
・相手の持つニーズや個別の事情までも想像し、相手の立場に立って考える。
・短期的な視点だけでなく、長期的な視点も持つ。
プレゼンテーションの効果を高める方法
・ファッションもプレゼンの一部として考える。
・メモやスライドを見ずにアイコンタクトを取る。
・「腕を開く」動作を意識して、メッセージを率直に伝える。
・最初は淡々と始め、だんだんメッセージが伝わる中で、強く情熱を込めて訴える。
・グラフを利用し、数字のわかりやすさを追求する。
・情熱をもって「志」を語る。