公的年金負担の世代間格差について論じている本。
少子高齢化と低成長が進む中で、増大する社会保険費用に対して、増税や給付削減などの負担を行わず、赤字国債という問題先送りを続けている現状を指摘。
すべての世代がハッピーになれる政策などないと唱え、将来的に厳しい局面を迎えることを書いている。
残念ながら、すべてがうまくいく解決策は提示されていません。
効率性と公平性はトレード・オフ(二律背反)の関係にある。効率性と公平性のどちらを重視するかという問題は、「大きな政府」と「小さな政府」のどちらを志向するか、という問題に置き換えられることが多い。
日本は給付と負担のバランスをとっておらず、高給付、低負担という無責任な選択を続けてきた。つまり、増税や給付の削減といった負担をとらず、赤字国債の発行により、問題を先送りしてきた。
しかし、少子高齢化・低成長の時代が続くと、その持続は難しくなり、私たちは効率性と公平性の間の厳しいトレード・オフに直面することになる。
著者 小塩隆士
1960年生まれ。一橋大学経済研究所教授 経済企画庁入庁後、1989年イェール大学経済学修士号取得。1991年J.P.モルガン入社。立命館大学、東京学芸大学、神戸大学を経て、2009年より現職。
週刊 東洋経済 2012年 2/11号 [雑誌] |
日本経済新聞 大阪大学教授 大竹 文雄 |
エコノミスト 2012年 3/13号 [雑誌] 慶応義塾大学教授 土居 丈朗 |
日経ビジネス Associe (アソシエ) 2012年 05月号 [雑誌] 学習院大学教授 鈴木 亘 |
週刊 東洋経済 2012年 8/4号 [雑誌] |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
第1章 効率性と公平性 | p.1 | 31分 | |
第2章 公平性の受け止め方 | p.43 | 19分 | |
第3章 日本の再分配の問題点 | p.69 | 34分 | |
第4章 効率性と公平性からみた教育 | p.115 | 39分 | |
第5章 世代間のゼロサム・ゲーム | p.167 | 40分 | |
おわりに――本書のメッセージ | p.221 | 7分 |
ある基準をもって人間社会の構成員を階層化した際に、階層間格差が大きく、社会的地位の変化が困難、社会移…
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