成功するために必要な条件
①偶然与えられた優位点
優れたアイスホッケー選手の生まれ月は、1〜3月に集中している。これは年齢を区切る期日を「1月1日」にしているからである。カナダでは代表チームを9歳か10歳で選び始める。当然、身体が大きく、器用な少年を才能ありと見がちである。代表に選ばれた少年は、よりよい指導が受けられ、より強いチームメイトに恵まれ、実践を積む。少年の優位点は、優れた素質だけでなく、早く生まれた点も含まれる。
②好機と才能
成功している人は特別な機会を与えられる可能性がもっとも高く、さらに成功する。
そして、成功とは「累積するアドバンテージ」の結果である。プロのアイスホッケー選手は最初、同じ年齢の仲間よりほんの少しだけホッケーが上手だった。その小さな差が好機を招き、その差が少し広がる。さらに有利な立場が、次の好機を招く。こうして少年はアウトライアー(通常の値から大きくかけ離れたもの=天才)になる。
成功するには個人の才能だけでなく、好機に恵まれることが重要である。
一万時間の法則
生まれ持った才能よりも、訓練の役割の方が大きい。アマチュアとプロのピアニストについて、練習時間を調査した結果、20歳時点でアマチュアは2000時間、プロは一万時間に達していた。頂点に立つ人物は他の人よりも圧倒的にたくさんの努力を重ねている。
複雑な仕事をうまくこなすためには最低限の練習量が必要である。世界レベルの技術に達するにはどんな分野でも、一万時間の練習が必要である。一万時間より短い時間で、真に世界的なレベルに達した例を見つけた調査はない。
一万時間に及ぶ厳しい練習をこなすためには、だいたい10年必要である。大抵の人が一万時間に達するためには、特別なプロジェクトに恵まれた場合か、並外れた好機に恵まれた場合に限られる。ビル・ゲイツ、ビル・ジョイなども少年期からプログラミングに触れる環境があった。
成功者は社会がつくる
1975年はパソコン時代の幕開けだった。この好機を一番活用できる立場にあったのは、理想的には20〜21歳、つまり1954年か55年生まれである。
ビル・ゲイツ 1955年
ビル・ジョイ 1954年
ポール・アレン 1953年
スティーブ・バルマー 1956年
スティーブ・ジョブズ 1955年
エリック・シュミット 1955年
アウトライアーの成功は、彼らひとりの力で勝ち取ったものではない。育った社会が生み出したものである。