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着手すべきはデザインである

シックス・シグマ(品質管理手法の一つ)が大きな成功をおさめた結果、品質は事実上、コモディティとなった。いまや顧客はすべての製品とサービスが信頼できるはずだと考えていて、1社だけが優位に立つ事は難しくなっている。

均質化された時代においては、改善するだけでは十分ではない。必要なのは全く異なる違いを生み出すこと。差別化において、役に立つのはイノベーションであり、そのために着手すべきはデザインである。

ケルトン・リサーチの調査によると、アメリカ人の10人に7人が、最近の衝動買いで決め手となったのはデザインだったと答えている。特に若年層(18〜29歳)ではデザインの影響が顕著であった。

デザインは製品だけが持つ可能性ではない。デザインは「広告と製品」のものから、プロセス、システム、組織を含むものへと急速に移行しつつある。

ビジネスの成功を形作る主な成分はブランドと、その提供の2つしかない。自発的なロイヤリティを育むブランドを築きあげるには、デザインを使って、顧客の喜ぶ差別化された製品やサービスを創出せねばならない。

知る、つくる、する

ルールを打破するイノベーションには、遊びの感覚や喜びが不可欠である。デザインは「遊び」のプロセスである。

工業化時代は「知る」と「する」という2つのプロセスが重視される。問題は標準オプションボックスに照らしながら分析し、選んだ解決策を実行する。
デザインフルな企業は、そこに「つくる」というプロセスを挿入する。問題を分析し、新しい選択肢をつくり、解決策を実行する。革新的になるには、直観的な手でつくることが必要である。

変化を生むレバー

革新性をめざすには、イノベーションの文化を築くことが必要である。その秘訣は次の「てこの支点」を使うことである。

①胸が高鳴るビジョンを掲げる
②豊かなストーリーを語る
③デザイン基準、ブログ、協働スペースなどを組織化し、創造的ユニットを創る
④デザイン部門を独立オフィスとし、デザインマネジメントを確立する
⑤各分野のスペシャリストを雇い、メタチームを組織する
⑥個々人が働く時には表現し、共に働く時には影響し合う
⑦グループ内の全員を同時に同じ方向性で考えさせる
⑧パワーポイントを禁止する
⑨自由に発言できるようにし、どんなアイデアも受け入れる
⑩大きく考えた後、小さな投資から始め、段階を追って確信を強めるように進める
⑪イノベーションの価値を予測できる新しい測定基準をデザインする
⑫従業員にブランド価値を構築する方法や、顧客感動の創出に役立つ方法を教育する