コストの安い製品を中国でつくって儲けようとする海外企業と、その要求に乗じて稼ごうとする中国の工場。中国在住の仲介業者である著者が、したたかな中国工場の手口を紹介するノンフィクション。
ずさんな衛生管理、手抜き、品質改悪、値上げ要求、模倣品の横流し。中国の工場で行われている製造業の裏を知る。
中国で製造・輸出を始めるのは難しくない。中国の工場は、サンプルさえくれれば、何でも速く生産でき、しかも、提携関係を結ぶために異様なまでの熱心さを見せる。単価ベースではアメリカの製造コストと変わらなくても、中国では初期段階でかなりコストカットできる。
しかし、この手の誘いは頭金なしのセールストークみたいなもので、うますぎる話だと輸入業者側は思った方がいい。
中国の工業家の特徴は、遠い将来の儲けに期待して大きな犠牲を払う事で、利益ゼロで生産を引き受ける。そして、一度、最初の発注を受ければ、トレンド情報と、製品の知識を学び、模造品を作る技術を身に付ける。やがて、製品の質を下げ、価格の引き上げを要求するようになる。
サプライ関係で問題解決に何年もかけてきた輸入元は、サプライヤーを替えるには困難を伴う。よって、製造業者の立場が強くなり、輸入業者は苦境に陥る。中国に輸入業者が流れ込むが、彼らはやがて運転席を乗っ取られることに気付かない。
著者 ポール ミドラー
中国ビジネス仲介業者 大学で中国語と歴史を学び、1990年代初頭に中国へ移住。一時帰国し、ペンシルベニア大学ウォートンスクールでMBA、同大学ラウダー研究所で国際研究修士号を取得。 過去20年におよぶ中国でのキャリアにおいて、業種も規模も異なるさまざまな欧米企業と、数百に及ぶ中国との製造業者との間で、ビジネスの仲介を続けてきた。
週刊 ダイヤモンド 2012年 4/14号 [雑誌] 紀伊國屋書店新宿本店第2課係長 水上 紗央里 |
エコノミスト 2012年 4/10号 [雑誌] |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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Episode1 消えた作業員の謎 | p.9 | 8分 | |
Episode2 トラブルこそ飯のタネ | p.21 | 10分 | |
Episode3 「サンプルさえくれればね」 | p.35 | 10分 | |
Episode4 「でかい話があるんだ」 | p.49 | 13分 | |
Episode5 「見ればわかるでしょ!」 | p.67 | 13分 | |
Episode6 グローバル商売のど派手なカーニバル | p.85 | 18分 | |
Episode7 これでよかったんだよ | p.111 | 11分 | |
Episode8 苦労のひと粒 | p.127 | 10分 | |
Episode9 チャイナ・ゲーム | p.141 | 15分 | |
Episode10 模造品文化 | p.163 | 17分 | |
Episode11 動物実験はしていません | p.187 | 7分 | |
Episode12 合弁事業の特効薬 | p.197 | 8分 | |
Episode13 捨てられたトロフィー | p.209 | 14分 | |
Episode14 「聞き違いだよ」 | p.229 | 10分 | |
Episode15 「プライス ゴーアップ!」 | p.243 | 15分 | |
Episode16 居たくない場所 | p.265 | 13分 | |
Episode17 新しい工場 | p.283 | 13分 | |
The Last Episode 利益ゼロ | p.301 | 14分 |