革新は変化に適応していくプロセスである
組織や社会が若いうちは、柔軟で流動的である。しかし、歳を重ねていくうちに、活力は減少し、柔軟性は硬直性にとってかわり、創造性は薄れて、思いもよらない状況に直面した時には、対処する能力を失っている。
同じように幼い子供は、新しい体験に開放的である。感受性が強く、好奇心があり、熱心で、何でも試してみようとする。しかし、成長するにしたがって、こうした貴重な資質は失われ、物事の決まったやり方を身に付ける。そうしなければ、彼らはずっと幼稚なままで、周囲の環境に対応することができない。だが、身に付けた態度や習慣は、違った見方や行動を受け入れにくくする。自分を取り巻く環境に対応する力は上がるが、変化には弱くなる。
社会や個人の初期の柔軟性や適応力を減少させるプロセスのほとんどは、成熟のプロセスである。それ自体、避けることができない。しかし、一方で成熟すれば、新しい可能性を狭め、変化への適応力を弱めてしまう。
すべての個人、組織、社会は成熟しなければならない。しかし、単に物事のやり方を確立するという面だけで成熟すれば、どれだけそのやり方に磨きがかかったとしても、結局は墓場に行きついてしまう。永続的に革新し続ける社会では、イノベーションや再生や復興が継続的に発生するシステムや枠組みが成熟していく。
革新は単なるイノベーションと変化ではない。それは、変化から生まれたものを私たちの目的に合わせていくプロセスである。個人、組織、社会にとって継続性は重要であり、変化の方向性を決める上で重要な役割を果たす。そして、継続性にとって重要な事は、長期的な目的と価値である。
自己革新
私たちは歳をとるにつれて、次第に人生の視野と多様性を狭めてしまう。慣れ親しんだ身の回りのものに対して、段々と新鮮な見方をしなくなってくる。そうすると、毎日会う人々や、日常の世界の特徴に対して、注意深く観察しなくなる。
適応力をなくしてしまった人々は、変化に抵抗するようになる。自らの既得権を最も頑固に守ろうとするのは、自己革新の能力を失ってしまった人である。
大人の学ぶ意欲が若者より低い傾向にあるのは、リスクをとりたがらないからである。学習はリスクを伴う務めであり、大人は失敗を嫌う。しかし、自己革新をする人にとって、自己の可能性を高める取り組みと、自己を発見するプロセスには終わりがない。
自己革新する人には以下の特徴がある。
①他の人と相互に豊かな関係を築いている。
②モチベーションが高い。
モチベーションを上げるためには、何か一つ深く関心を持てることに取り組むことである。そして、自分の殻を破りたいと思うなら、それは本質的に自己中心的なものであってはならない。