北朝鮮と中国
北朝鮮にとって、中国との関係は経済的にも死活的に重要である。中朝貿易は1999年3.7億ドルから、2010年35億ドルと伸びている。ここ20年における北朝鮮の対外貿易における中国が占める割合は、2010年で貿易総額の83%を占めるという。また、北朝鮮の原油の90%、消費物資の80%は中国からの輸入または援助である。
中朝国境で起こっていること
・脱北者を捕まえるかどうかは中朝関係という政治問題とリンクしている
中朝国境には脱北してきた人間を放り込んでおく収容所がある。中国領土内で公安に捕まった脱北者はここで拷問を受ける。一般的には10日、罪を犯していれば2ヶ月くらい拷問が続く。その後、北朝鮮に強制送還される。罪を犯していれば、送還後は死刑または無期懲役。
2003年以降、中国政府は北朝鮮側の要求に従い、脱北者を捕まえては強制送還してきた。これは人道主義に反する。一方で、中朝関係が悪化すれば、送還はしない。逮捕者も少なくなる。
・脱北者に食料を与えると罰金
脱北者に食料を与えている瞬間を警察に目撃されると、1回3000元くらいの罰金を払わされる。これは現地の朝鮮族の月収に相当する。
・北の軍人は賄賂を受け取る
中国側と北側の双方が面会するためには、国境で北朝鮮側の軍人にヤミ金を払う必要がある。現在は3000元(約37000円)が相場。軍人もリスクがあるが、キャッシュ欲しさに賄賂を受け取る。
・商人が情報を運ぶ
北朝鮮国内には10万以上の華人ネットワークがある。彼らは中国に帰って来てから、中国当局の役人と面会し、金銭を受け取る情報の運び屋である。中朝インテリジェンスのキーマンは商人だ。韓国からの情報はでたらめなものが多い。
・3000〜4000元で人身売買
北朝鮮女性の人身売買は3000〜4000元が相場。若くて美貌の女性は1万元を超える。未婚の北の女性が欲しいという男性を仲介業者がリストアップし、北側のカウンターパートに打診する。今では取り締まりが厳しくなり、かつ需給関係が不安定のため、ほとんど行われていない。
・密輸
北朝鮮から中国への密輸は、人身と麻薬以外に自動車の取引が多い。3〜4万人民元で北朝鮮から中国に運ばれる。中国から北朝鮮への密輸は中古テレビや日用品が多い。テレビは1台200元が相場。
基本的に密輸は北側の軍とグルになって行う。北朝鮮軍の兵役は10年が基本だが、兵役後は元の貧しい生活に戻る。そのため兵役中に少しでも貯金しようとする。
・米国が主役の脱北ビジネス
脱北者をかくまう資金は、アメリカの教会組織から出ている。アメリカのキリスト教宣教師の目的は、朝鮮族エリアを活用し北朝鮮にキリスト教を広め、 中から金正日体制を崩壊させていくというもの。