広告代理店のメニューにない課題を解決する時代に
効果効率の追求、従来型施策への飽き、シビアな媒体費等、広告主の依頼が「オファー」化している。広告主は従来のような広告代理店が提案する「おしながき」ではなく、「おしながきに書かれていないもの」を求めるようになっている。
これに応えるための1つの方向が「コミュニケーションプランニング」である。今までの「広告」とは、商品やサービスを消費者に「伝える」ための技術・作法だった。これに対し、「コミュニケーションプランニング」とは、商品やサービスと消費者ががいかに「コミュニケーション」するかを企てることである。
その手順はまず、商品・サービスがどういった「コンテクスト」に埋め込まれるのかを考えることから始まり、様々な種類の「顧客接点」を駆使する。
コンテクストを生み出す
コミュニケーションプランニングの際に考えることは「ある商品を世の中に埋め込むためにはどうすればいいか?」という視点である。商品の価値が当該ターゲットにおいて適切に「解釈」されなければ、それが受け入れられることはない。
商品・サービスについて正しく解釈してもらうための「コンテクストの解釈」と「コンテクストづくり」から行い、その上で「パーセプション(認識)」を変えてもらう方法をコンテクストプランニングという。
コンテクストとは、コミュニケーションを可能にさせるための背景や状況、またその人々の関係性、共通の知識・体験、ロジックなど、共有された情報のことである。
コンテクストプランニングは、コミュニケーションプランニングの前段階として位置付けられる。
フレームワーク
コンテクストプランニングは「コンテクストを解釈する、理解する技法」と「コンテクストを生み出す、紡ぎ出す技法」の2つで構成されている。
コミュニケーションプランニングを行う上で把握しておくべきは、以下の4つのコンテクストである。商品やサービスはこの4つのコンテクストの中で、それぞれに解釈される。
①消費者文脈:消費者の日常生活における各種活動や人間関係によって編まれる
②パブリック文脈:社会規範、常識、ニュース・メディア等で作られる
③所属産業文脈:その商品・サービスが所属している産業内で共有されている
④ブランド文脈:これまでその企業が蓄積してきたコミュニケーション資産
ターゲットに受け入れられるためには「現状どのようなコンテクストが存在し、新たなコンテクストとしてどういうものを想定し、生み出し、提示し」その中にいかに商品を「埋め込む」か。
今、広告主が求めているのはこうした「コンテクスト」の企画であり、「メディアを多様に使うこと」とか「これまでにない表現を開発すること」は本質的なことではない。