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2011/11/22更新

イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)

332分

29P

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優良企業が失敗する理由

優良企業がたびたび失敗するのは、そのような企業を業界リーダーに押し上げた経営慣行そのものが、破壊的技術の開発を困難にし、最終的に市場を奪われる原因となるからだ。主な特徴は、次の通りである。

・顧客の声に耳を傾ける
・求められたものを提供する技術に積極的に投資する
・利益率の向上を目指す
・小さな市場より大きな市場を目標とする

破壊的技術の5原則

既存の技術を利用するには最も効率的な経営慣行が、破壊的技術の開発を妨げる要因になる。

①企業は顧客と投資家に資源を依存している
顧客や投資家が求めず、利益率が低い破壊的技術に充分な資源を投資することはきわめて難しい。しかし、彼らが求めるようになる頃には、もう遅すぎる。

②小規模な市場では大企業の成長ニーズを解決できない
会社の規模が大きくなると、同じ成長率を維持するためには、新しい収入の金額を増やす必要がある。そのため、新興市場への参入は難しくなり、大規模な市場に的を絞らなければならない。

③存在しない市場は分析できない
投資プロセスの過程で、市場規模や収益率を数量化してからでなければ市場に参入できない企業は、破壊的技術に直面したとき、まだ存在しない市場に関するデータを必要とするために、手も足も出なくなる。

④組織の能力は無能力の決定的要因になる
経営者は、イノベーションに取り組む時、能力のある人材に任せようとする。しかし、組織の能力は、その中で働く人材の能力とは無関係である。労働力、エネルギー、原材料、情報、資金、技術といった入力を価値向上という出力に変えるプロセスと、組織の経営者や従業員が優先事項を決定する時の価値基準によって決まる。

⑤技術の供給は市場の需要と等しいとは限らない
企業は高性能、高利益率の市場を目指して競争するうちに、当初の顧客の需要を満たしすぎたことに気がつかない。ここに、破壊的技術を採用した競争相手の入り込む余地が生じる。

破壊的イノベーションへの対応方法

①破壊的技術の開発を、そのような技術を必要とする顧客がいる組織に任せることで、プロジェクトに資源が流れるようにする

②独立組織は、小さな勝利にも前向きになれるように小規模にする

③破壊的技術を追求するための適切な市場と正しい戦略は事前には分からないという法則を踏まえたうえで、戦略と計画に対する別のアプローチを検討する

④早い段階から行動し、現在の技術の特性にあった市場を見つける。主流市場にとって魅力の薄い破壊的技術の特性が、新しい市場を作り出す要因になる

破壊的技術の5原則と戦い、克服しようとしないこと。従来の慣行を適用すると、失敗する。破壊的技術に関する自然の法則を理解し、利用することが重要である。