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2012/06/14更新

「当事者」の時代 (光文社新書)

360分

3P

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これからのジャーナリズムについて考えよう

日本人の言論、ジャーナリズムは、当事者意識なく、弱者や被害者の気持ちを勝手に代弁するようになっている。なぜ、日本人は弱者や被害者などのマイノリティと同化して物事を語るのか。

戦後の日本の思想の変化を追いながら、日本人のジャーナリズムの問題について考える1冊。


■マスメディアが代弁するのはマイノリティである市民
マスメディアは「市民感覚」や「市民目線」というものを非常に重要視している。市民感覚、市民目線に基づいて正義を論じ、国家を語る。しかし、マスメディアが依拠する「庶民」は、常にマイノリティである市民運動によって代弁される。

市民運動は権力に対するカウンターとして、弱者の声のシンボルとしてそこに存在してくれる。しかし、市民運動は市民のマジョリティでない。それでも市民運動を記事に取り上げ続けるのは、それが記事をつくる上で実に楽ちんなパーツであり、「自分達は弱者の味方である」というわかりやすい立ち位置を打ち出しやすいからである。

そこに新聞記者の、マイノリティをマジョリティとして描かざるを得ないジレンマがある。

超短要約

我々は絶対者ではない。絶対的な悪でもなく、絶対的な善でもない。その悪と善の間の曖昧でグレーな領域に生息している。しかしその領域で互いの立ち位置を手探りで確かめている状態こそが当事者である。
グレーな領域こそが、インサイダーの本質である。このグレーを引き受けることこそが、社会を我々自身で構築するということに他ならない。

しかし、戦後社会のスタート地点は「被害者」「加害者」、「侵略者の鎮魂者」という3つの立ち位置を同時に共有することを強要し、それに耐えられなかった日本人はこのグレーな領域から退避せざるをえなかった。

在日、華僑などの異邦人への憑依によって日本人はインサイドから外へ出て、当事者であることを捨て去った。気持ちの良い神の視点を獲得したが、これは何ももたらさない。

今こそ、当事者としての立ち位置を取り戻さなければならない。

著者 佐々木 俊尚

1962年生まれ。日本のジャーナリスト・評論家 毎日新聞社入社後、警視庁捜査一課、遊軍などを担当し、殺人事件や海外テロ、コンピュータ犯罪などを取材する。 その後、アスキーへ移籍し、『月刊アスキー』編集部などを経て2003年2月退社。現在フリー。21世紀に入り台頭してきたネットメディアに関心を持ち、フリー以後は仕事の中心に据えている。

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徳力 基彦

章の構成 / 読書指針

章名 開始 目安 重要度
プロローグ 三つの物語 p.9 10分
第一章 夜回りと記者会見――二重の共同体 p.25 74分
第二章 幻想の「市民」はどこからやってきたのか p.145 32分
第三章 一九七〇年夏のパラダイムシフト p.197 49分
第四章 異邦人に憑依する p.277 38分
第五章 「穢れ」からの退避 p.339 15分
第六章 総中流社会を「憑依」が支えた p.363 39分
終章 当事者の時代に p.427 23分
あとがき p.464 2分

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ユーザーのしおりメモ (1)

Hiroshi Fukui

「結(結論)」・「起(原因)」・「承(背景、具体例)」という構成の文書ばかり作成してきた私から見ると、この本の構成はスゴイ!と感じました。本書は主に「承」・「起」・「結」で構成されていて、読んでいる方を飽きさせずに最後まで導いてくれます。500ページ!の大作であるにも関わらず。佐々木さんのような構成ができれば、大学入試や公務員試験での小論文試験でかなり高得点が狙えるのとちゃうかな?
2012-08-17