2010年代の情報・通信分野における重要なテーマ「ビッグデータ」に関して、その大枠を理解できる本。国内や海外におけるビッグデータの活用事例や現状の課題、これからの動向などが書かれています。
■ビッグデータとは
ビッグデータとは「事業に役立つ知見を導出するための『高解像度』『高頻度生成』『多様』なデータ」と定義される。ビッグデータビジネスは、これらビッグデータを用いて社会・経済の問題解決や、業務の付加価値向上を行う、あるいは支援する事業である。
消費者動態などのデータを取得・生成して、そこから知見を導出し、事業にフィードバックしようという考え方自体は、数十年前から存在していた。しかし、当時は、電子マネーもGPS搭載携帯電話もSNSもクラウドもなかった。
しかし、この10年間に電子化・自動化を目的としたIT活用投資が進められたことにより、大量のデータが「付随的に」「おのずと」蓄積されるようになった。使えるデータがたくさんある状態になったため、めざとい事業者はデータを使うことによって事業の高度化・効率化を実現しようとしている。2010年代には、事業に効用をもたらすようなデータをコストをかけてでも積極的に取得しようとする動向が必然となる。
ビッグデータを用いれば、以下のことが可能となる。
・「一部」顧客の声ではなく、「すべての」顧客の声に耳を傾けること
・「わざわざ」回答させずとも、「おのずと」蓄積されるデータを分析すること
・分析により得られた知見のフィードバックを個々別々に対して実施可能であること
これらは、すべて「顧客のニーズを見極める」ことにつながる。イノベーションを「顧客に対する新しい付加価値の提供」とするならば、ビッグデータの活用こそ、その手段となる。
著者 鈴木 良介
株式会社野村総合研究所 ICT・メディア産業コンサルティング部主任コンサルタント 情報・通信業界や行政機関等に対する調査および提言を実施。情報・通信の効率的かつ安全な活用について、クラウドおよびビッグデータ利用の観点から検討を行っている。
帯 ジャーナリスト 佐々木 俊尚 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに | p.1 | 4分 | |
第1章 ビッグデータビジネスとは何か? | p.13 | 37分 | |
第2章 ビッグデータビジネスの効用と活用事例 | p.71 | 40分 | |
第3章 主要陣営の戦略とビッグデータ活用を支える技術 | p.133 | 27分 | |
第4章 ビッグデータ活用に向けた3つの阻害要因 | p.175 | 17分 | |
第5章 ビッグデータビジネスの将来予測 | p.201 | 29分 | |
むすび | p.247 | 2分 |
通常のデータベース管理ツールなどで取り扱う事が困難なほど、巨大な大きさのデータの集まりのこと。 …
p.20
ビッグデータという字面のままの解釈では間違い。有用な知見が導出されるデータであることが重要で、それが「スモールデータ」であっても構わない。
2012-03-01
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