どのようにTFTのしくみを作ったか
TFTの活動の一番の目的は「食糧問題に関する啓蒙をして、多くの人の意識を変える」ということ。そこで、TFTを「5P」というフレームワークで整理して、しくみを作った。
①Purpose(目的・達成目標)
世界の食の不均衡を是正し、先進国の肥満と開発途上国の飢餓、この2つの問題を同時に解決する。2つの問題が同時に解決することをどうやってわかりやすく見せるか。寄付金は誰に出してもらい、どういうしくみで支援先まで届けるのか。
活動領域、活動内容、展開の方法、課題などについて、考えられる要素を列挙し、整理した。その中で以下の点から検討を加えていった。
・インパクトが大きいものはどれか
・自分たちのビジネスモデルやスキルで実行できるか
・既に先行するプレーヤーはいないか
②Partnering(提携)
TFTの目標のためには、TFTの食堂プログラムを採用してくれる企業・団体を一カ所でも増やすことが第一歩となる。
TFTのビジネスモデルは、提携する企業や団体なしには成立しない。だからこそ、提携先の相手とは同じ目線で「どうすれば良い活動ができるのか」という相談をし、強いパートナーシップを築いていかなければならない。
③People(組織・人事)
NPOなど社会事業団体の仕事は、社会問題の解決のために集めた寄付金や会費をできる限り有効活用することである。しかし、労働に応じた報酬まで放棄する訳ではない。
一般企業に比べ、事業資産や資金に乏しいNPOにとって一番の資産は人。だからこそ、正当な報酬を支払い、事業をビジネスとして成立させることを考えなければならない。
④Promotion(宣伝・広告)
TFTはかなり戦略的にブランディングに取り組んでいる。最重要視しているのはロゴと活動を一言で表すフレーズ。テレビや新聞広告を出す資金はないため、リリースなどを配布して番組や記事に取り上げてもらう、PR活動を重視している。
⑤Profit(利益・成果)
社会事業の場合、大きなスポンサーが付いているなどの特殊ケースを別にすれば、収入源は不特定多数の寄付に頼る事業モデルになる。組織や運動の名前を認知してもらい、活動の趣旨に賛同してもらえるようになるまでには、ある程度の時間がかかる。
多くの人に長く支え続けてもらうためには、積極的な働きかけが必要となる。一時の高揚ではなく、長く関心を持ち続けてもらうためには「TFTに参加することは楽しい」「世の中のためになる活動だ」という実感を持ってもらうことが大切である。