日本IBMにて、社内外の研修講師をつとめ、多くのコンサルタントを指導してきた経験を持つ著者が、「相手に伝わる」資料の作成方法を伝授。
前半は、相手に伝わるために必要な資料作成の考え方、後半はチャートやグラフの作成方法、色の付け方などの具体的なテクニックを紹介している。
■「わかる」「伝わる」資料とは
ビジネスにおける「わかる」には、2つの意味がある。
①意味がわかる:言葉の意味がわかり、情報を適切に引き出すことが可能な状態
②意義がわかる:内容の主張が腑に落ちて、アクションをとることが可能な状態
「相手に伝わる」資料は、この2つの「わかる」について、ともにわかりやすい状態である必要がある。「意味を理解」してもらうためには、情報の量と質が適切で脳の本棚に収めやすい塊にする必要がある。「意義を納得」してもらうには、内容に論理的なエラーがないことが必要である。さらにロジックだけでなく、感情的に受け入れてもらう資料を作成することが大切である。
■プロフェッショナルな資料の3つの要件
プロフェッショナルが作る資料には3つの要件が必要である。
①相手の期待値を理解している
②質、スピードの達成基準が高い
③誤字・脱字がなく、興味・関心を満たし、安心・満足・感動を与える
誰にとっても、どんな状況でもわかりやすい資料というものはない。対象や相手が置かれた状況を配慮して、それぞれに合ったドキュメンテーションを意識することが必要である。
ビジネスの資料は、ほとんどの場合、相手に訴えてそこから何らかのアクションを引き出すために作る。よって、相手がどうしたら動くのかといったターゲット分析を徹底的に行うことが、資料作成において最も重要である。
著者 清水 久三子
1969年生まれ。&create(アンド・クリエイト)代表 大手アパレル企業を経て、1998年にプライスウォーターハウスコンサルタント(現IBM)入社後、企業変革戦略コンサルティングチームのリーダーとして、新規事業戦略立案・展開支援、コンサルタント育成強化、プロフェッショナル人材制度設計・導入、人材開発戦略・実行支援などのプロジェクトをリード。 2005年より、コンサルティングサービス&SI事業部門の人材開発部門リーダーとしてコンサルタント・エンジニアの人材育成を担い、2013年に独立。
週刊 ダイヤモンド 2012年 6/9号 [雑誌] |
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
はじめに | p.3 | 2分 | |
Chapter1 プロフェッショナルの資料に求められるもの | p.11 | 9分 | |
Chapter2 【意義がわかる資料の作成方法】「目的」「ターゲット」「メッセージ」の明確化 | p.27 | 29分 | |
Chapter3 【意味がわかる資料の作成方法】 資料の構成を考える | p.79 | 7分 | |
Chapter4 【意味がわかる資料の作成方法】情報の質と量を最適化する | p.91 | 9分 | |
Chapter5 【意味がわかる資料の作成方法】ビジュアルオブジェクトのテクニック | p.107 | 28分 | |
Chapter6 【意味がわかる資料の作成方法】ビジュアルエフェクトのテクニック | p.157 | 7分 | |
Chapter7 資料のクオリティを高めるヒント | p.169 | 11分 | |
おわりに | p.188 | 1分 |
影響力の武器[第二版]―なぜ、人は動かされるのか [Amazonへ] |