働き方をシフトする
今後数十年の間に、仕事の世界で多くの変化が起き、キャリアや働き方に関する古い常識が次々と葬り去られる。世界中の企業でピラミッド型の組織構造が崩れ、全員が毎日午前9時から午後5時まで働くという勤務形態が揺らぐ。昔であれば不利な状況に置かれていた国に生まれた人たちも、グローバル人材市場に加わるチャンスを手にする。一方、元々有利な状況にあった国の人々は過酷な試練を突きつけられる。
未来を形作る要因の数々は、悲惨な未来を生み出す可能性もあるし、明るい未来を生み出す可能性もある。明るい未来を切り開くためには、これまでの固定観念、知識、技能、行動パターン、習慣などを根本からシフトする必要がある。
第一のシフト:ゼネラリストから「連続スペシャリスト」へ
昔は幅広い分野の知識と技能を持つ人材が評価されたが、そういう状況は変わる。グローバル化が進展し、テクノロジーが進化して世界が一本化する時代には、同種の知識や技能をもって仕事を行える人が世界中に多く現れる。
未来の世界では、その他大勢から自分を差別化する事が重要になる。そのために、専門分野の知識と技能を高める必要がある。但し、特定の一つの分野だけでは、その価値がなくなる危険が伴うため、いくつかの専門技能を連続的に習得していかねばならない。
第二のシフト:孤独な競争から「協力して起こすイノベーション」へ
グローバル化が進展し、世界中の人々が結びつく時代には、イノベーションと創造性が極めて重要になる。そのためには、大勢の人達の能力とノウハウ、人脈を統合する以下3つが不可欠である。
・ポッセ
非常に難しい課題に取り組む時、比較的少数の信頼でき、頼りになる同志を持つことが重要となる。
・ビッグアイデア・クラウド
大規模で緩やかな人的ネットワークを持っている方が、多くの情報を入手できる可能性が高い。構成する顔ぶれの多様性が大きいほど、幅広い情報を得られる。
・自己再生のコミュニティ
バーチャル空間で活動することが増えるため、情緒面の支えと安らぎを与えてくれる現実世界の人間関係が必要となる。
第三のシフト:大量消費から「情熱を傾けられる経験」へ
やりがいと情熱を感じられ、前向きで充実した経験を味わえる職業生活への転換を成し遂げ、所得と消費を中核に据える職業人生から脱却しなければならない。具体的には、自分の前にある選択肢の一つひとつを理解し、その道を選んだ場合の結果を分析し、行動に踏み切る勇気を持つ必要がある。それを実践しない限り、自分が望む働き方、自分にふさわしい働き方の未来は切り開けない。