名著『ビジョナリー・カンパニー』の最新作。本書では「不確実な時代に突入しても躍進する企業が存在するのはなぜか?」をテーマにしている。
不安定な環境下で目覚ましい成長を遂げ、偉大になった企業を「10X(十倍)型企業」と命名している。10X型企業はすべて、所属業界の株価指数を少なくとも十倍以上上回る株価パフォーマンスを記録している。
10X型企業には、サウスウエスト航空、アムジェン、インテル、マイクロソフトなどを挙げている。これら企業を同じ時期にほとんど同じ条件にあった企業と比較し、成功した企業に共通する法則を導き出している。
10X型企業が共通してとっている行動としては「狂信的規律」「実証的創造力」「建設的パラノイア」の3つを示している。この3つの行動をとることが、予測できない環境に適応し、成功するための条件だと結論付けている。
偉大な企業は幸運に恵まれただけではないかという点について、成功の秘訣は上記3つの10X型行動をとることであるとし、人間の意志と規律こそが重要であると説く。
■10X型リーダーシップ
勝ち組のリーダーのことを「10X型リーダー」と呼ぶ。10X型リーダーは次の3つの行動パターンを備えている。
①狂信的規律
10X型リーダーは、徹底した「行動の一貫性」を示す。長い時間を経ても行動がぶれない。
②実証的創造力
10X型リーダーは、科学的に実証できる根拠を頼りにする。自ら直に観察し、実験を重ね、具体的な事実と向き合う。実証的な基盤を築くからこそ、大胆で創造的に行動できる。
③建設的パラノイア(偏執病)
10X型リーダーは、潜在的脅威や環境変化がないか監視するため、常に高感度なアンテナを張っている。最悪の状況を想定して日頃から準備を怠らず、有事対応策を練り、衝撃緩和の仕組みをつくり、安全余裕率を高める。
この3つを活性化させるのが、やる気を起こす原動力「レベルファイブ(第五水準)野心」である。10X型リーダーは個人的なエゴや利益を超えて、永続する何かをつくろうとする。
■運の利益率(リターン・オン・ラック:ROL)
10X型企業は並外れた幸運に恵まれただけではないかとの疑問がある。しかし、10X型企業は必ずしも強運とは言えない。運を制御したり、予測したりすることは不可能である。
よって、10X型手法で行動・指導することで、遭遇する運から最大限の成果を引き出すことが重要である。
著者 ジェームズ・C・コリンズ
1958年生まれ。元スタンフォード大学経営大学院教授。 ピーター・ドラッカーの教え子。 全米で5年間にわたるベストセラーになり、百万部以上が売れた名著『ビジョナリーカンパニー』の共著者。スタンフォード大学経営学大学院教授を経て、現在はコロラド州ボールダーで経営研究所を主宰。企業と非営利団体の指導者に助言するコンサルタントとして活躍している。
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章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
第1章 不確実性の時代に飛躍する | p.17 | 13分 | |
第2章 10X型リーダー | p.37 | 31分 | |
第3章 二十マイル行進 | p.83 | 32分 | |
第4章 銃撃に続いて大砲発射 | p.131 | 34分 | |
第5章 死線を避けるリーダーシップ | p.181 | 27分 | |
第6章 具体的で整然とした一貫レシピ | p.221 | 28分 | |
第7章 運の利益率 | p.263 | 35分 | |
エピローグ 自分の意志で偉大になる | p.315 | 3分 | |
よくある質問 | p.319 | 17分 | |
調査概要 | p.359 | 51分 |
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