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ニーズのギャップに着目せよ

リバース・イノベーションの機会を考える上で出発点となるのが、富裕国と途上国にある5つの「ニーズのギャップ」に着目することである。

①性能
途上国の人々は、超割安なのにそこそこ良い性能を持つ画期的な新技術を待ち望んでいる。これを実現するほどの設計変更は、既存品からスタートしたのでは不可能である。

②インフラ
途上国のインフラは構築中である。そのため、既存のインフラに邪魔されることなく、新規の画期的な技術へと一足飛びに進展する柔軟性がある。

③持続可能性
貧困国が環境負荷の大きい方法で、消費や生産を行うと地球全体で最悪の結果を招く。よって、新興国市場は、「環境に優しい」ソリューションを用いる。結果、新興国市場は、次世代技術を柱とする経済へ、一気に進展していく可能性がある。

④規制
規制による影響を受けない途上国の方が、より早くイノベーションが進展する可能性もある。

⑤好み
各国で、はっきりした味覚や好みの違いがある。

途上国の消費者は、富裕国がいまだ解決したことのない問題を抱えている。さらに貧困国は、富裕国が数十年前に似たようなニーズに対処した際には、まだ利用できなかった最新技術を用いて、自分達の課題に取り組めるという、相対的に恵まれた状況にある。貧困国で機会をつかむことは、一から始めることを意味する。

リバース・イノベーションは逆流する

リバース・イノベーションは、最終的に、貧困国から途上国へと移転していく可能性があり、グローバルな影響力を持ちうる。こうしたイノベーションが、上流に向かうには2つの異なったルートがある。

①今日取り残された市場
富裕国には、市場が小さすぎて多額のイノベーション投資を正当化できない市場が残っている。ex.低価格自動車『ナノ』、マイクロクレジット『グラミン銀行』

②明日の主流市場
富裕国の主流市場では魅力を出せないイノベーションも、ひとたびギャップが解消傾向に転じれば、最終的には魅力的なものとなる。新しい技術は、常に進歩しており、50%のソリューションは、ほんの2、3年で90%のソリューションになるかもしれない。そうすれば、富裕国の顧客は急に強い関心を示すようになる。ex.ネットブック、GE小型超音波診断装置

リバース・イノベーションを無視することは、海外での機会を逃すこと以上に高くつく恐れがある。

マインドセットを転換せよ

リバース・イノベーションのマインドセットを生み出すには、次の3つのステップをとらなくてはならない。

①組織の重心を新興国市場へ移す
②新興国市場の知識と専門性を深める
③CEOが一貫して、新興国市場で勝つことが重要だとする雰囲気づくりをする