『フリー』『ロングテール』の著者クリス・アンダーソンが、次のパラダイムシフトとして、製造業の革命を取り上げている。
もの作りがデジタル化され、3Dプリンタ、レーザーカッターなどの新しい技術が進歩したことで、ウェブと同じように誰でももの作りができる環境になりつつある。小さな作り手(メイカ−ズ)たちの事例を紹介しながら、未来の製造業の姿を示している。
■ウェブからリアルへ
僕らはアトムの世界、つまり、場所やモノの存在する現実の世界に生きている。情報産業がいくら巨大になったと言っても、世界経済の中ではまだ脇役でしかない。広義のデジタル経済は、およそ20兆ドル。ウェブを含む経済全体は約130兆ドルと推定されており、アトムの世界はビットの世界より5倍は大きい。
ウェブが草の根からのイノベーションを促し、起業と経済成長を加速させたモデルが、リアルなモノの経済で始まっている。ウェブ時代の最も根本的な変化の一つは、オンラインでの共有がデフォルトとして定着したこと。共有されたプロジェクトは、他者のひらめきとなり、コラボレーションのきっかけとなる。一人ひとりのメイカー(作り手)が世界中でつながった時、ムーブメントが生まれる。
今、メイカームーブメントから生まれた起業家たちが、DIY精神を産業へと高めつつある。
■メイカームーブメントがやってきた
メイカ−ズはデジタルツールを利用して画面上でデザインし、デスクトップの工作機械でもの作りを行う。次に、ウェブ世代のメイカ−ズは当たり前に自分の作品をオンラインでシェアする。もの作りのプロセスにウェブ文化とのコラボレーションを持ち込むことで、メイカ−ズは、これまでのDIYに見られなかったほどの大きな規模で、一緒になってなにかを作り上げている。
何千というメイカーたちは、キックスターターをはじめとする「クラウドファンディング」サイトを通して、プロジェクトの資金を調達している。2011年だけでも、約12000のプロジェクトが、約1億ドルを調達した。
メイカームーブメントがついにやってきた。このムーブメントは、始まって7年足らずだが、すでにパーソナル・コンピュータの黎明期のように加速している。
■メイカームーブメントの特徴
メイカームーブメントには、次の3つの特徴がある。
①デスクトップのデジタル工作機械を使って、モノをデザインし、試作すること
②それらのデザインをオンラインのコミュニティで共有し、仲間と協力すること
③デザインファイルが標準化されたこと。誰でも手軽に製造できる
■第三次産業革命
第三次産業革命とは、デジタル・マニュファクチャリングとパーソナル・マニュファクチャリングが一体となった時にこそ起きるもので、それがメイカームーブメントの産業化だと言える。
もの作りのデジタル化は、既存の製造業の効率を高めるだけでなく、作り手の数を劇的に拡大させており、多くの「普通の人々」が起業家になりつつある。「メイカー」たちは、始めの内は、自宅のガレージや工房で作業を行っている。彼らは少量生産の味を生かし、手作り感や職人の質を大事にしている。デスクトップの工作機械だけ使って、数百から数千個に限って生産する。
新たなテクノロジーは、人々に再び生産手段という力を与え、草の根からの起業と分散されたイノベーションを可能にした。
著者 クリス・アンダーソン
『ワイアード』US版編集長 ロス・アラモス研究所の調査員を務めたあと、『ネイチャー』誌と『サイエンス』誌に6年間勤務。その後、英『エコノミスト』誌の編集者としてロンドン、香港、ニューヨークで7年間テクノロジーからビジネスまで幅広い記事を扱い、また1994年には同誌のインターネット版を立ち上げた 。 「ロングテール」という言葉を2004年に同誌上ではじめて世に知らしめ、2006年に刊行した同名の著書『ロングテール』は世界的ベストセラーとなる。 2007年には米『タイム』誌の「世界でもっとも影響力のある100人」に選ばれている。
日経ビジネス |
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
週刊 東洋経済 2012年 10/27号 [雑誌] |
帯 作家 セス・ゴーディン |
週刊 ダイヤモンド 2012年 10/27号 [雑誌] |
帯3 慶應義塾大学准教授 田中 浩也 |
日経ビジネス Associe (アソシエ) 2012年 12月号 [雑誌] |
THE 21 (ざ・にじゅういち) 2012年 12月号 [雑誌] 経済評論家 山崎 元 |
日本経済新聞 慶応義塾大学教授 國領 二郎 |
週刊 ダイヤモンド 2012年 12/15号 [雑誌] 中央大学商学部教授 井上 義朗 |
帯2 起業家 エリック・リース |
情報考学 Passion For The Future 橋本 大也 |
週刊 ダイヤモンド 2012年 12/22号 [雑誌] |
帯4 インフォバーン代表取締役 小林 弘人 |
tokuriki.com 徳力 基彦 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
第1章 発明革命 | p.8 | 15分 | |
第2章 新産業革命 | p.26 | 17分 | |
第3章 未来の歴史 | p.47 | 19分 | |
第4章 ぼくらはみんなデザイナー | p.70 | 7分 | |
第5章 モノのロングテール | p.79 | 20分 | |
第6章 変革のツール | p.106 | 20分 | |
第7章 オープンハードウェア | p.130 | 21分 | |
第8章 巨大産業を作りかえる | p.156 | 24分 | |
第9章 オープン・オーガニゼーション | p.185 | 22分 | |
第10章 メイカーたちの資金調達 | p.212 | 21分 | |
第11章 メイカービジネス | p.238 | 19分 | |
第12章 クラウド・ファクトリー | p.261 | 13分 | |
第13章 DIYバイオロジー | p.277 | 7分 | |
エピローグ 工業世界の未来の姿 | p.286 | 6分 | |
付録 二一世紀の工作室 | p.293 | 10分 |
不特定多数の人から資金を集める行為のこと。 群衆(crowd)と資金調達(funding)を組…
米国ミシガン大学のC・K・プラハラード、ベンカト・ラマスワミの両教授によって提唱された、顧客参画を通…
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