会社に就職して、時間と健康を犠牲にしてまで働くことはおかしい。スモールビジネスを複数組み合わせることで、十分に生活していく事が可能であるとする脱会社のススメ。
著者自身が実験台として、小さな仕事(ナリワイ)を実践することで、新しい働き方を紹介している。
■かつて職業には多様性があった
個人レベルではじめられて、自分の時間と健康をマネーと交換するのではなく、やればやるほど頭と体が鍛えられ、技が身に付く仕事を「ナリワイ」(生業)と呼ぶ。
仕事と言えば、会社で一つの仕事をするという考え方が常識になっている。さらに現在では「生活を犠牲にしてやるのが仕事」という定義も半ば常識になってしまっている。そのため、「うつ」や過労で会社を辞める人が少なくない。これはおかしい。
大正9年の国勢調査では、国民の職業は35000種あったが、現在では2167職種となり、我々は職の多様性は失ってしまった。戦後に多様性を切り捨て業種を絞り込むことで急成長したのが、高度経済成長だった。
かつて仕事は多様性のあるものだった。季節ごとに生業は変わるし、色々な仕事があり、それを各自が組み合わせて生活を組み立てていた。
■ナリワイ10か条
ナリワイとは、ハードな自給自足でもなく、生活より利益優先のバトルタイプ資本主義ファイターでもない、ぼちぼち稼ぐ暮らし方を目指す。
ナリワイの要素は、次の通りである。
①やると自分の生活が充実する
②お客さんをサービスに依存させない
③自力で考え、生活をつくれる人を増やす
④個人ではじめられる
⑤家賃などの固定費に追われない方がよい
⑥提供する人、される人が仲良くなれる
⑦専業じゃないことで、専業より本質的なことができる
⑧実感が持てる
⑨頑張って売り上げを増やさない
⑩自分自身が熱望するものをつくる
上記のような簡単な決まりを考えるようにしておくと、日常に入ってくる情報の種類や質も変わってくる。但し、即効性は期待できない点には留意すること。
著者 伊藤 洋志
1979年生まれ。大小様々な仕事を組み合わせて生計を建てるナリワイ実践者 大学院在籍時に、全国の職人さんの見習いをしながら、弟子の技能の身につけ方と独立生計の建て方を調査。手仕事一本ではなく、農業や素材栽培も含め生業を営む染織工房が、いきいきと仕事をしている様子を見て、専業よりも複業的生活の可能性を感じる。 大学院卒業後、ほぼ新卒4人からなるベンチャーに参加。就職サイトや雑誌の立ち上げを終えるも、肌荒れのため退職。「増刊現代農業」(現:「季刊地域」)などでフリーランスの記者として活動をはじめる。 2007年より、個人が小さい元手ではじめられる頭と体をつかう仕事をテーマにナリワイづくりを開始。現在、シェアアトリエ「スタジオ4」や、京都の一棟貸し宿「古今燕」などの運営、「モンゴル武者修行ツアー」、「熊野暮らし方デザインスクール」などワークショップ企画から、「木造校舎ウェディング」企画運営、和歌山県古座川町の花飾り「ハナアミ」のお手伝いなどのナリワイの傍ら、「地球のココロ」(@ニフティ)の連載や、自由大学で講義を担当(不定期)。
日本経済新聞 |
週刊 ダイヤモンド 2012年 10/6号 [雑誌] 八重洲ブックセンター八重洲本店 2階フロア長 佐藤 公紀 |
WEDGE |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに | p.2 | 6分 | |
第1章 ナリワイとはなにか | p.25 | 27分 | |
第2章 人生における支出を点検し、カットする | p.79 | 22分 | |
第3章 ナリワイをつくろう! | p.123 | 17分 | |
第4章 ナリワイをやってみる | p.157 | 21分 | |
第5章 ナリワイはみんなでやればもっと楽しい | p.199 | 20分 | |
あとがき | p.238 | 2分 |
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