ナリワイとは何か
ナリワイとは、生活の充実から仕事を生み出す手法である。作戦としては、守りを固めてから攻めるのが基本である。何よりもまず、支出をコントロールし、無駄な支出を減らす。もしもの時には月3万円程度の収入でも暮らしていけるような生活場所を見つけて、非常時にはそこに動ける態勢を用意しておく。
ナリワイで生きるという事は、大掛かりな仕掛けを使わずに、生活の中から仕事を生み出し、仕事の中から生活を充実させる。そんな仕事をいくつも作って組み合わせていく。年に一回で30万円のナリワイや、毎月3万円や5万円など同時に何個もナリワイを持って生活を組み立てて行こう、という地味なやり方だ。仕事の最小単位が小さいから、会社勤めのかたわら、ナリワイを少しずつ増やしていくというのも一手だ。
特別な才能を必要とせず、生活の糧を得ながら同時に自分の生活を充実させうる仕事=ナリワイは、ひそかに存在する。
ナリワイの考え方の真髄の一つは、稼がなきゃ稼がなきゃと外部の環境に振り回されるより、自分の生活をつくる能力を磨き、それをちょっと仕事にしてしまう方が確実ではないか、ということである。
著者のナリワイの事例
・年2回の「モンゴル武者修行ツアー」
・短期集中講座「熊野暮らし方デザインスクールー田舎でパン屋を開く」
・「木造校舎ウェディング」の企画運営
・シェアオフィス「スタジオ4」
・京都の一棟貸しの宿「古今燕」
・収穫期だけの梅農家の手伝い
・山村でおばあさんが編んでいた花飾り「ハナアミ」の販売
一個だけで生計は立てられないが、それぞれを組み合わせて暮らしている。
ナリワイをつくる
ナリワイを作るための基礎的な鍛錬は2つある。これを行えば、ナリワイの種を見つける感覚が冴えてくる。但し、これは試行錯誤がものを言うので、即効性のあるノウハウではないことを理解しておくこと。
①未来を見る
「無駄なもの」や「こういうものがあったらいい」というアイデアを書きまくる。
②日常生活の違和感を見つける
「なぜ」より「そもそも」を常に考えて違和感を見つけていくのが良い。
ナリワイの種を見つけたら、あとは以下の順番で、少しずつナリワイの形を作っていけば良い。
①未来の予想を実現するには、何をすれば良いか考える
②考えた仕事がどういう価値を持つか、という視点で考え、受け手の立場に立つ
③選んだナリワイの価値が実現するという証拠(他人の評価や感想)を揃える
ある程度ナリワイの形が見えると、まず一回実行してみるのがてっとり早い。身近な人に実験台になってもらい実績をつくり、その話を色んな人にしつつ確かな自信を深め、簡単なチラシやウェブサイトをつくって広めてみることが実行への道となる。