ダイエット、禁煙など、どのようにすれば人は誘惑に勝てるのかを行動心理学をもとに解説しています。アメと鞭の使い方がわかります。
■人は目先の報酬に弱い
人は「1年後にリンゴ1個」と「1年と1日後にリンゴ2個」という選択だと誰もが後者を選ぶ。しかし、「今日リンゴ1個」と「明日リンゴ2個」だと、今日の方がいいという。
人は報酬が目先に近づくにつれて、せっかちになってしまう。日が近づいてくるにつれて、人はどこかで選好を逆転させてしまう。これを「双曲割引」という。双曲割引者は、報酬を即座に受け取ることに多大な価値を置く。でもその報酬がずっと先に来る物だと、あまり気にしなくなる。
一方で、人は自分のせっかちぶりについて、事前に後悔できる能力を持っている。即ち、十分に時間があれば、一日待ってリンゴを2倍にした方がいい事を認識できる。誰もが「すぐ欲しい」自分と「論理的に辛抱する」自分の内なる闘争を繰り広げている。だが、人間は内なる闘いに勝利できるよう、生活を組み立てることもできる。これを支援するのが「コミットメント契約」だ。
コミットメント契約を活用するには、まず将来の自分が一時的に違った選好をしがちだということを認める知恵が必要である。
人はなぜ目標が達成できないのか?
それは生物が長期的な利益よりも短期的な誘惑に極端に弱いからである。それを防ぐために行動経済学が教える方法が「コミットメント契約」だ。
コミットメント契約は、破った場合の罰や達成した場合のごほうびという裏付けを持つ約束である。コミットメント契約があると、週三回運動すると約束したら、やらなければ何らかの罰をくらう。
最適な「アメとムチ」を組み立てるこの方法を実践すれば、豊かな成果が手に入る。
そして、インターネットでコミットメント契約を構築できるサービスに『stickK』がある。
http://www.stickk.com/
誰でも本当のコミットメント契約を構築できるインターネットサービス『stickK』の仕組みは次の通り。
・利用者は完全に自発的に目標を決め、契約を構築する。
・契約の厳しさは3つの条件で設定する。
金銭を掛けるか、サポーターをつけるか、審判をつけるか
・失敗の指標には3つの定義がある。
①報告期日から48時間以内に報告しない場合
②コミットメント遵守に失敗したと報告した場合
③審判ありで、審判が失敗したと判定した場合
・失敗した場合の掛け金は利用者が好きな慈善団体に寄付。
stickKでは、もちろん「ズル」をしている人はいるかもしれないが、成功率は6割以上である。
著者 イアン エアーズ
イェール大学教授 データ分析によって問題解決の道筋をつける「絶対計算家」として名高い。 NYタイムズ、ウォールストリート・ジャーナル、FTなどに寄稿。彼の研究はプライムタイム・ライブ、オプラ、グッドモーニング・アメリカでも取り上げられている。
マインドマップ的読書感想文 smooth |
週刊 ダイヤモンド 2012年 11/24号 [雑誌] 丸善・ジュンク堂書店営業本部 宮野 源太郎 |
週刊 東洋経済 2012年 12/1号 [雑誌] |
日本経済新聞 サイエンス作家 竹内 薫 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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序章 コミットメント契約という魔法 | p.8 | 10分 | |
第1章 今日の一個のリンゴと、一年後の二個のリンゴ | p.20 | 26分 | |
第2章 インセンティブかコミットメントか | p.50 | 29分 | |
第3章 損失は大きく見える | p.84 | 33分 | |
第4章 ガミガミ言われる気分 | p.122 | 34分 | |
第5章 持続性と意識化 | p.162 | 28分 | |
第6章 コミットメントは人を語る | p.194 | 29分 | |
第7章 やりすぎる危険 | p.228 | 28分 | |
第8章 コミットメント店舗 | p.260 | 31分 |
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