自分だけの役割を探せ
「仕事」については、マニュアルで内容が決められていない。目の前にいるゲストのために、常に自分の頭で考え、行動しなければ、仕事というものは果たせないのである。「作業」と「仕事」がきちんと区別できていれば、作業がつまらないからといって「これは自分のやりたかった仕事ではない」と落胆することはない。大切なのは、自分がどのような役割を果たすか、だからだ。
しかし、そもそも自分だけの役割を見つけるというのは、簡単な事ではない。それは、人生において必死になって取り組まなければならないテーマである。
ギブ・アンド・ギブ
難病を患う子供とその家族を招待し、ディズニーランドなどを案内する活動をアメリカで行っているギブ・キッズ・ザ・ワールドが日本で紹介されたのは、2002年に放送された『NHKスペシャル』だった。フロリダ出張の折、この活動に私財を投げうって始めたヘンリ・ランドワース氏に直接会いに行った。
ヘンリ氏は「生きるとは、人に渡すことだ」と言った。自分の持っているものを相手に渡し、その見返りを得ようとするのではなく、さらに渡す。そうすれば、自分自身が本当の幸せを感じることができる。ギブ・キッズ・ザ・ワールドで働くボランティアは、施設を掃除したり、案内する事で子供たちに「ギブ」しているが、それはただ当たり前にできる事をしているだけなのだ。
「思い込み」こそ力になる
日本で難病と闘う子供とその家族をディズニーランドに招待するための団体を立ち上げるために、実現の見込みもなく、確信もなく、計画も立てていないのにオリエンタルランドを退職した。
難病と闘っている子供は、本当は、もっとやりたい事があるんじゃないだろうか。ディズニーランドでミッキーに会うというのは、その一つに過ぎない。しかし、そのきっかけを与えられるなら、自分の人生の役割としてこれほど意義深いものはない。
まずは第一歩踏み出すべきだ。その一歩は、思い込みだっていい。その「役割」が自分の思い込みかどうかなんて、どうでもいいことだ。何でも、最初はそんな一歩から始まる。
足りないものを知る
大切なものほど目の前にある。でも、それに気が付かない人が多い。大切なものに気付くためには、自分に「足りないもの」を知る必要がある。「自分に何ができないか」を考えることにも、大きな意味があるからだ。
自分に足りないところが何なのかを知れば、それを補うためにどんな努力をすればいいのか、どのように人に助けてもらえばいいのか、自分が何をすべきなのかが見えてくる。