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2050年の未来予測

英エコノミスト誌が、科学、政治、人口、経済、宗教などの20の分野で2050年までの世界を予想している。過去の歴史や人口動態をベースに将来予測がなされており、今後の世界の進む方向が示唆されている。


■人口と成長地域
世界的趨勢として高齢化が進み、世界の平均年齢は、2010年から2050年までに9歳上がって38歳となる。富裕国では、100歳まで生きる事が普通になる。

その中でアフリカは人口が増大化し、労働年齢人口も増え続けるという人口の配当を受ける可能性が高い。2050年までに予測される人口増加分23億人の半分はアフリカで増える分である。

中国の人口は、2025年に14億人でピークを迎え、その後減少に転じる。

人口の都市化も大きく進む。2010年には、世界人口の半数が都市部に居住していたが、2050年には70%に近づくと予想される。

出生率は世界的に低下し、2050年には2.1になると予測される。その結果、世界の人口増のスピードは減速し、やがて人口増加はとまる。

これから人口の配当を受ける地域は、インドとアフリカと中東である。しかし、若年層の膨らみは政治的な不安定要因ともなる。

これから人口の負の配当を受けるのは、日本と欧州、そして中国である。安い労働力による世界の製造工場の役割を中国は終える。日本は世界史上未踏の高齢社会になる。

超短要約

■戦争の未来
中国の台頭、技術の拡散、新しい形のテロ戦争などでアメリカの超軍事国家としての優位性は、様々な領域で崩れ始める。そうした中で、核戦争の危険は冷戦時代以上に高まる。

地域間の紛争の危険も高まっている。その紛争の原因は宗教を起点として、水やエネルギーなどの資源を実利として行われる。

■民主主義の未来
民主主義は、先進国において後退し、新興国において前進する。中国では民主主義が前進し、逆にインドでは、複数政党制ゆえの混乱で民主主義は苦しむことになる。

民主主義のアキレス腱は2つ。
①金(企業、圧力団体が政治献金をし、規制当局に圧力をかける)
②選挙に対するバイアス(民意はマスコミ等を通じて操作されやすい)

■国家財政の未来
世界的な高齢化によって、年金と健康医療費の増大は、国家財政にとって大きな負担になる。新興国もインドを除いては、社会保障費の増大に伴う国家財政の悪化の懸念がある。こうした国家財政の悪化は、改革によって防ぐ事ができる。

■経済の未来
新興国の経済は、今後40年間、先進国が経済成長を達成した速度を上回る早さで成長する。中でも教育に投資している国のスピードが速い。

現在の先進国の内、2050年までに、経済の世界規模で上位7カ国に残るのはアメリカのみ。後は、中国、インド、ブラジル、ロシア、インドネシア、メキシコに抜かれる。

フィリピン、エジプト、メキシコ、インドネシア、バングラディシュ、パキスタン、ナイジェリアなどの新興国で、教育年数が2050年までに著しく延びて、経済成長を後押しする。

中国は2025年を境に急速に高齢化が進み、それまでにため込んだ海外純資産を取り崩し始める。そして中国は労働力不足に陥る。

最も重要な地位を世界経済で占めてくるようになるのはアジアの経済で、2050年には、世界の半分がアジア経済となる。その中で日本は相対的に、急速にプレゼンスを失っていく。2010年には、世界経済の5.8%を占めていた日本のGDPは、2050年には1.9%となる。

今後40年間に一人当たり実質GDPが最も大きく成長するのはアジアの発展途上国4.7%、サハラ以南のアフリカ諸国4.4%、中東と北アフリカ3.9%。ラテンアメリカ3.3%、東ヨーロッパ3.2%は、新興市場地域の中で最も速く成長する国々に遅れをとる。

■イノベーションの可能性
製造業では、大きな技術革新によってその現場は変貌をとげる。可能性がある一つの技術として3D印刷の技術があげられる。あらゆる物がネットと常時接続するようになる。ロボットの技術革新によってこれまで人間にできなかった作業ができるようになる。

様々な技術革新に伴い、知識階級に富が偏在し、労働者の勤務はグローバル化によって過酷化する。

著者 英『エコノミスト』編集部

イギリスの週刊新聞で、ロンドンに所在するThe Economist Newspaper Limited から発行されている。 発行部数は約160万部(2009年)。その約半分を北米が占める。主に国際政治と経済を中心に扱い、科学技術、書評、芸術も毎号取り上げる。

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章の構成 / 読書指針

章名 開始 目安 重要度
はじめに p.8 6分
第一章 人口の配当を受ける成長地域はここだ p.16 22分
第二章 人間と病気の将来 p.42 18分
第三章 経済成長がもたらす女性の機会 p.64 18分
第四章 ソーシャル・ネットワークの可能性 p.86 15分
第五章 言語と文化の未来 p.104 18分
第六章 宗教はゆっくりと後退する p.128 17分
第七章 地球は本当に温暖化するか p.148 22分
第八章 弱者が強者となる戦争の未来 p.174 18分
第九章 おぼつかない自由の足取り p.196 17分
第十章 高齢化社会による国家財政の悪化をどうするか p.216 15分
第十一章 新興市場の時代 p.236 22分
第十二章 グローバリゼーションとアジアの世紀 p.262 15分
第十三章 貧富の格差は収斂していく p.280 15分
第十四章 現実となるシュンペーターの理論 p.298 13分
第十五章 バブルと景気循環のサイクル p.314 17分
第十六章 次なる科学 p.336 13分
第十七章 苦難を越え宇宙に進路を p.352 15分
第十八章 情報技術はどこまで進歩するか p.370 17分
第十九章 距離は死に、位置が重要になる p.390 13分
第二十章 予言はなぜ当たらないのか p.406 15分

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