病気の未来
高齢化と肥満化が世界的な趨勢となる。途上国も癌や脳卒中、糖尿病などの慢性疾患に悩む人が増えるようになる。
AIDSとの戦いは今後も困難が予想される。貧困諸国だけでなく、富裕諸国も、毎年400億ドルにもなる治療費を負担する用意がない。
高齢化に伴う最も深刻な影響は、アルツハイマー病の増大である。痴呆老人の介護は、結果として各国政府に財政的圧力をかける。
ソーシャルネットワークの可能性
SNSの興隆により、3つのトレンドが将来に予想される。
①意思決定において友人の影響力が強まる
②集団の英知を利用したウィキペディア型のサービスを利用する度合いが強まる
③新聞やテレビなどの大マスコミに頼らずとも大規模な運動を起こす事ができる
1社支配が長く続く可能性は少ない。新しいイノベーションを持ったネットワークが参入し、既存のSNSに取って代わる。
言語と文化の未来
通信の発達は世界の距離を縮小させるが、音楽、映画、文学などの娯楽は、引き続き文化に裏打ちされたローカルなものが各文化圏で優勢を保つ。
ナイジェリアの「ノリウッド」やガーナの「ガリウッド」、リベリアの「ロリウッド」など、アフリカで映画の都が発展する。
紙の本は、電子書籍に取って代わられるが、一定の役割で生き残る。ウェブを使ってクリエーターと消費者が直接結びつくことによって、出版社、レコード会社、新聞社はなくなるという議論は成り立たない。目利きとして、良いものを大きくプロモーションして伝えるという役割を維持すれば、必要とされる存在になる。
英語の言語としての一極集中は崩れない。中国語は、数多くの漢字を憶えなくてはならないというハードルがあり、世界言語とは成り得ない。唯一、英語に代わる世界言語があるとすれば、コンピュータである。コンピュータによる翻訳能力は飛躍的に上昇し、外国語学習を時代遅れのものにする。
宗教の未来
貧しければ貧しいほど宗教に帰依する割合が高くなり、豊かになればなるほど、宗教は相対化されていく。従って、経済成長を続ける新興国も、先進国化するに従い、無宗教者の割合が増えていく。
温暖化の可能性
エネルギーのポートフォリオがどう変わるか、経済成長がどうなるのか、気候の変化によって人間が対策を講ずるかなど、不確定要素が多すぎるため、どの程度温暖化するかは判断が困難。
温暖化で北極は、夏の間は海になる。海水部が増えることにより、海洋地下資源の促進、あるいは新たな漁獲域の出現など大きな変化がある。