学生時代からネットに触れてきたデジタルネイティブ世代のコミュニケーションには、どのような特徴があるのか?なぜLINEやtwitterが、facebookに先行して流行っているのか、その背景、日本人の特性がわかります。
今の10代、20代を理解するための1冊。
■デジタルネイティブとは
「デジタルネイティブ」とは、デジタル技術に学生時代から本格的に接した世代の事で、およそ1980年前後生まれ以降を指す。日本社会において、2010年現在で約3割の人口を占める。
日本社会では、家庭や教育現場におけるPCネットの導入が90年代後半は限定的にとどまる一方、2000年からモバイルネットが急速に普及し、青少年にも利用が拡大した。さらに2001年以降、ADSL、FTTHといった高速回線の普及が進展し、デジタルネイティブが形成されてきた。
1981年生まれ以降の世代は、その初期世代では大学生から、年代が下るに従い高校、中学、小学校から、PCネット、モバイルネット環境の様々な変化の波に、次々と晒された。しかも、ある波にどのライフステージで出会うかが、わずか数年で目まぐるしく変わり、それが大きな意味を持つのである。例えば、ミクシィに社会人になってから接するのと、高校生で接するのでは、その人の情報行動、ネットワークへの態度が大きく異なっていく。
■デジタルネイティブ世代の形成
技術やサービス、パケット定額制、ブロードバンド常時接続、教科「情報」の導入、経済的インセンティブなどにおける変化がデジタルネイティブ形成に大きな役割を果たした。これらの要因から、デジタルネイティブ達は、コミュニケーション生態系のあり方の違いによって、4つに大きく分ける事ができる。
①1982年以前生まれ
携帯:ポケベル、ピッチ世代。大学では携帯音声通話
PC:大学ネット化(ブログ、SNS以前)
特徴:オフラインの生活世界が基盤としてあり、オンラインはオフラインに従属的な空間。オフラインの世界でも顔が見える関係性、自らの考え方を介してつながる関係性を志向。
②1983〜87年生まれ
携帯:ケータイメール
PC:小学校からPC、当初はダイアルアップ
特徴:大学在学中にミクシィが登場するが、オフラインの人間関係を基盤とした既知の友人とつながるのが基本。
③1988〜90年生まれ
携帯:ケータイプロフ
PC:中高PC授業、自宅にブロードバンド
特徴:高校時代からSNS、動画が普及。モバイルSNSとしてのミクシィを利用し、小中高、大学とつながりを形成。マイミク数は第2世代の平均17.5人に対し、135人と多い。趣味、関心を介してオンラインでつながり、オフラインにも展開。
④1991年生まれ以降
携帯:プロフ、リアル、ブログ、SNSを使い分け
PC:小学生から自宅にブロードバンド
特徴:中学生からケータイ、PCとも高速かつ定額接続に接する事で、中学の濃密な人間関係で、ネットワークを意識しなければならなかった。学校裏サイト、ネットいじめなどの問題が発生。オンラインとオフラインの区別が曖昧に。
著者 木村 忠正
1964年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科教授 東京都立科学技術大学、早稲田大学などを経て現職。専門は、科学技術人類学、情報ネットワーク論。
週刊 東洋経済 2012年 12/8号 [雑誌] |
日本経済新聞 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに | p.11 | 7分 | |
序章 アラブの春はソーシャルメディア革命だったのか | p.22 | 12分 | |
第1章 デジタルネイティブへのアプローチ | p.41 | 29分 | |
第2章 デジタルネイテイブの形成と動態 | p.87 | 35分 | |
第3章 社会的コミュニケーション空間の構造と変容 | p.142 | 35分 | |
第4章 不確実なものを避ける日本社会 | p.196 | 29分 | |
終章 「安心志向のジレンマ」を克服するネットワーク社会へ | p.241 | 4分 |
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