デジタルネイティブ世代のコミュニケーション特性
常時接続、ブロードバンドの普及などを要因として、第2世代と第3世代のオンラインコミュニケーションには、大きな変化がある。第2世代まではオフラインが基盤として強く働いている。他方、第3世代以降は、オンラインを介した社会関係について柔軟に対応し拡大しつつある。オンラインを介した人間関係自体が自律性を獲得するケースも見られる。
デジタルネイティブ世代にオンラインコミュニケーションが組み込まれていく過程において、次の4つの特性が強い方向付けの力を持ってきた。
①空気を読む圧力
「5分以内に返事を返さないといけない」といった圧力。「これから電話していいか」とメールで確認する気遣い。私達は対面コミュニケーションにおいて、相手との物理的距離、視線の方向、言葉遣い、空気を読む圧力をコントロールしている。ケータイメール、ブログ、ツイッターなどは、まさに電話と郵便から成り立っていたコミュニケーション空間を解体し、再構築してきた。
コミュニケーションにおいて「同期的」「非同期的」の区分は決定的である。ケータイメールなどの非同期コミュニケーションがデフォルトとなり、空気の読みにくい音声通話は限定的にしか利用されなくなった。
さらに「空気を読む圧力」が、デジタルネイティブ世代において、ケータイメールから自由を奪い取っていく。そこで彼らが利用したのが「日記」であり、2000年半ばから後半にかけて、SNSやブログとして発展した。
②高い匿名性志向
気分が高揚したり、逆に落ち込んだ時、その気持ちを誰かと分かち合う事は、コミュニケーション欲求の根幹をなす感情の一つである。ところが、個人的な感情を伝え、共有したいという強い欲求と同時に、相手のテンションが同じでないと迷惑だと感じるのではないかという空気の圧力も強い。
そして、オンラインコミュニケーションで拡大してきたのが、「テンション共有が高く、親密度は低い」、ニコニコ動画や2ちゃんねるである。
③テンションの共有
デジタルネイティブ達は、ツイッターが持つ、140文字という文字制限、タイムライン、フォロー/フォロワーの非対称性という3つの要因を活かし、コネクション型のコミュニケーションを実現してきた。会話のキャッチボールを解体する事で、「空気を読む圧力」を回避し、「テンションの共有」によるつながりを生み出している。
④不確実性回避傾向
日本人はオンラインへの強い不信感、不安感を持ち、高い匿名性、低い自己開示を特徴とする。そこには社会的信頼感の低さが考えられる。その原因として、バブル崩壊以降の若年層が年齢効果によって、社会的信頼感を高める機会を持つ事ができない割合が高まっている事がある。