アップルが使うサービスの5ステップ
アップルストアの従業員は、以下の5ステップで忘れられないリッチな体験を顧客に提供する。
①顧客を、それぞれに適した温かい挨拶で出迎える
来店者一人ひとりに対し、その人に合った体験を提供しようという意欲を持ち、気さくな笑顔とアイコンタクトで出迎える事が大事である。温かい挨拶には、大事にされていると人々に感じさせる力がある。
②顧客のニーズを丁寧に聞き出して理解する
アップルストアでは、3種類の方法で探りを入れる。
・自由に答えられる質問をする
・意味のある会話をするように顧客を誘導する
・会話に自分も参加する
③顧客に解決策を提示する
④課題や懸念などをしっかりと聞いて解決する
顧客の疑問に耳を傾け、その懸念を解消すると共に、解決すればどのようなメリットがあるのか理解してもらう。
⑤温かい別れと次回の来店をうながす言葉で別れる
アップルストアで買い物をすると、最後に必ずと言っていいほど、お祝いの言葉をかけられる。今日の買い物でこれからこんないい事があるはずだと言われると、「あ、やっぱり買ってよかったな」と思うものだ。
アップルをはじめ、顧客サービスの雄と言われるところは、大切にされたと顧客に感じさせるから成功している。
顧客の体内時計をリセットする
アップルは、温かくて親しげな挨拶で出迎えると、顧客の体内時計をスローダウンできる事を理解している。うまくやれば、接客まで15分待たせても、ほんの2〜3分に感じられたりする。
混雑しているお店に入る時、人は延々待たされるだろうと考えるが、アップルストアではそうならない。店内に入った瞬間、自分の存在を認めてもらえる。その結果、体内時計はリセットされ、時間の流れがゆっくりになる。対応できるまで3〜5分かかると店員に告げられると、また体内時計はリセットされる。顧客は定員の提案に従い、iPadをいじり始めると、また体内時計をリセットされる。スペシャリストや店員が通りかかり、にっこり笑って声をかける。これでまた体内時計はリセットされる。
体内時計のリセットはアップル・エクスペリエンスの中核をなすコンセプトであり、アップルストアでは常に注意が払われている。
メリットを売り込む
アップルストアの従業員は、アップルの製品の背景にあるメリットを売り込むように教育されている。ジョブズもプレゼンのたびに「なぜ皆さんが気にかけなければならないのか」に対する答えを上手に提供していた。
あなたの製品やサービスなど、気にする人はいない。人々が気にするのは、その製品やサービスが何をしてくれるのか、である。アップル・エクスペリエンスでは、メリットの訴求が大きな役割を果たしている。