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2013/02/09更新

僕はミドリムシで世界を救うことに決めました。――東大発バイオベンチャー「ユーグレナ」のとてつもない挑戦

  • 出雲 充
  • 発刊:2012年12月
  • 総ページ数:240P

192分

5P

  • 古典的
  • トレンドの
  • 売れ筋の
  • すぐ使える
  • 学術系
  • 感動する
  • ひらめきを助ける
  • 事例が豊富な

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世界に挑むバイオベンチャーの創業物語

東大発バイオベンチャー、ユーグレナの起業物語。著者の起業に至るまでの動機から、会社を立ち上げてからの苦労、成功するまでの道のりが克明に書かれており、起業とはどういったものかがよくわかる1冊です。


■仙豆を求めて
高校時代、将来は国連で働いて、世界から飢餓や貧困をなくしたい、というのが目標だった。ところが、グラミン銀行のインターンとして、バングラディシュを訪れた時、「飢餓」問題は、先進国から乾パンを送るような方法では解決できない事がわかった。なぜなら「飢餓」というのはカロリー不足だけではなく、人に必要な栄養素が不足している事を指すからだ。バングラディシュでは、山ほどコメが取れるが、野菜や肉、魚、卵などの食品が足りていないのが問題だった。

日本に帰った後、国連に代わる新しい目標を探して、しばらく進路について悩んでいたが、大学で入っていたビジネスコンテストを主催するサークルで、出会いとヒントを得ることになる。現在、ユーグレナ社の取締役で研究開発部長の鈴木健吾だ。

東京大学農学部で農業構造経営学を勉強するかたわら、世界から栄養失調をなくす計画を真剣に考え続けた。ある時から思うようになったのが「地球のどこかに仙豆のような食べ物があったらいいのにな」という事だった。「仙豆」というのは、漫画『ドラゴンボール』に登場する飢えと傷を一瞬で回復させる魔法の食べ物である。

超短要約

■ミドリムシを事業化するまでのあらすじ
・東京大学農学部で出合った鈴木健吾からミドリムシの存在を知る。
・ミドリムシの大量培養に成功した事例はないが、事業化を目指す事を決意。
・いきなり起業する度胸がなく、東京三菱銀行に就職するも1年で辞める決意。
・2年間知人の会社を手伝いながら、同時にミドリムシの研究を進める。
・堀江貴文氏に出会い、スポンサーになってもらう。
・2005年ユーグレナを創業し、ミドリムシの培養研究に本格的に取り組む。
・偶然にクロレラ販売企業の御曹司と出会い、培養プールの紹介を受ける。
・2005年12月16日、ミドリムシの大量培養に成功。
・2006年1月16日、ライブドア強制捜査で、逆風が吹き始める。
・ライブドア事件後、取引を断る会社が続出し、事業継続を諦めるか検討。
・2006年2月17日、ライブドアから株式を買取り、再スタート。
・3年間、売れないミドリムシのサプリメントを全国でひたすら営業する。
・何度もキャッシュが底をつきそうになり、リストラを余儀なくされる。
・資金ショートの危機が続く中で、2008年5月に伊藤忠商事からの出資が決定。
・伊藤忠商事がパートナーとなる事で、信用ができ環境は好転。
・ミドリムシクッキーを売り出し、少しずつメディアに取り上げられていく。
・ミドリムシの油がジェット機の燃料として使えるか研究開発がスタート。
・2012年11月16日、東証マザーズ上場承認。
・バングラディシュの栄養支援計画のスタートが決定。

■自ら定めた領域で「1番」になること
思い切って銀行を辞めて、夜行バスに乗って、ミドリムシの研究者を日本中訪ね歩いている内に、いつしか1つの確信が芽生えてきた。「いま世界で、自分ほど、ミドリムシについて真剣に考えている人間はいないはずだ」という思いだった。技術的にはまだどうなるかわからなかったし、全く自信がなかったが、「ミドリムシについては世界で自分が1番だ」という思いは、揺らぐ事がなかった。

ライブドア・ショックの後で、会社をたたむか、全財産をつぎ込んで事業を継続するか、迷った時に最後の一押しをしてくれたのも、この確信だった。そして、ここで諦めたらこの後の人生ずっと後悔する、という事も明白だった。

本当にそれぐらい好きな事であれば、世界中の人が止めても、誰一人応援してくれなくても、その事をやり続ける事をこの7年で学んだ。ベンチャーを起こす意味があるかどうかは、その分野で1番をとれるかどうかにかかっている。追い詰められた時でも、自分が1番であれば、その逆境を跳ね返す力が湧いてくる。誰だって、特定の狭い分野で、偏執的に追求していけば、必ず1番になれる。それは、夜行バスに乗って日本中のミドリムシ研究の先生を回る中でつかんだ真実だ。

著者 出雲 充

1980年生まれ。株式会社ユーグレナ 代表取締役社長 東京大学に入学した1998年、発展途上国のひとつであるバングラデシュを訪れ、世界に確実に存在する本当の貧困に衝撃を受ける。2年後の2000年、同じ東大農学部に在籍していた鈴木と出会い、「ユーグレナ(和名:ミドリムシ)」のことを知り、世界の「食料問題」と「環境問題」を同時に解決できるそのポテンシャルに魅せられるも、培養技術が確立していないという壁の前に、一旦は事業化を断念。2002年、東京三菱銀行に入行。 2005年8月、出雲と福本、鈴木の3人で株式会社ユーグレナを設立。東大発のバイオベンチャーとして注目を集める。同年12月には、世界で初めてユーグレナ(ミドリムシ)の屋外大量培養に成功。食品、機能性食品、化粧品、飼料、そして燃料と、数多くの分野で事業化を目指している。 2011年、AERA「日本を立て直す100人」に選出され、安藤百福賞 「発明発見奨励賞」を受賞。2012年、世界経済フォーラム(通称ダボス会議)が選出する「ヤング・グローバル・リーダーズ2012」に選出される。

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章の構成 / 読書指針

章名 開始 目安 重要度
第1章 問題と、自らの無知を知るということ p.1 27分
第2章 出会いと、最初の一歩を踏み出すということ p.43 11分
第3章 起業と、チャンスを逃さずに迷いを振り切るということ p.61 28分
第4章 テクノロジーと、それを継承するということ p.105 18分
第5章 試練と、伝える努力でそれを乗り越えるということ p.133 29分
第6章 未来と、ハイブリッドであるということ p.179 27分
おわりに ミドリムシに教えてもらった、大切なこと p.221 2分

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