コーイノベーション・リスク
多くの企業がコーイノベーションを試みるが、失敗に終わる。それは、自分の成功がパートナーに依存してしまい、その結果、成功するかどうかがパートナー次第になってしまうからである。
ex.フィリップスの高精細度テレビ → 伝送規格の開発遅延で失敗
自社のイノベーションが、パートナーのイノベーションに依存する場合、リスク評価、リスクマネジメントの方法を変えねばならない。コーイノベーション・リスクは、各パートナーが特定の時間の中でコミットメントを果たす事ができるかという複合的な確率で決まる。そのロジックは平均ではなく掛け算となる。(例:85%×85%×85%×85%=52%)
アダプションチェーン・リスク
自社とエンドユーザーの間にいる仲介者(卸売業者、小売業者等)は、自社のパートナーであり顧客でもある。自社の成功は、そのパートナーがイノベーションを採用し、理解してくれるかに依存する。
ex.ミシュランの新標準タイヤ → 修理工場が規格に対応せず失敗
アダプションチェーンは最小値のロジック、つまりトータルのプラスよりも、最小値が優先される。(例:[4+3−1+5]<[1+1+1+1])
ワイドレンズのツールを使う
イノベーション・エコシステムの新しい世界では、自社にイノベーションを実行する能力があるからといって成功するとは限らない。戦略立案とその実行はパートナーとの相互依存関係を考慮しなくてはならない。
①価値設計図を構築し、パートナーとの依存関係とリスクを明確にする。
エコシステムの地図を作る事で、計画に組み込まれている誰が誰とつながり、誰に依存しているかが明確になる。プロジェクトの中でいずれ向き合わねばならない障害物を早期に見通す事ができるようになる。
②先行者マトリックスを使用し、参入のタイミングを決定する。
先行者は新市場開拓をする事により、後発よりも大きな不確実性のリスクにさらされる。考えるべきは、先行者として優位性を築く事ができるかではなく、どのような状況であれば優位性が存在するかという事である。
エコシステムの世界では、競合が真似できない素晴らしい製品を作るだけでは十分と言えない。コーイノベーションの課題が多い場合は、適切なタイミングを待つ事も重要である。
③エコシステム5つのレバーを使って、設計図を再構築する。
成功したイノベーターに共通するのは、価値の創出を阻む鍵となる制約を最初に発見し、それらの制約を回避できる価値設計図を再構築するような大胆な処置をとった事である。
問題のボトルネックを取り除くには、再配置、結合、削除、追加、分離の5つの視点から新しい構成を見つける。