ゴルフと人生は似ている
ポールは、ゴルフトーナメントに参加した。目下の関心事は、デービス・ラブであった。目立つプレーをすればデービスと良い関係が築けるはずだと考えていた。しかし、ポールはダブル・ボギーばかり叩き、9番ホールまで来ると深い敗北感の中にあった。他のプレーヤー達と良い関係を築けないだけでなく、彼自身がゴルフを楽しめていなかった。
デービスはポールに言った。「私はこれまで数多くの人と一緒にプレーしてきましたが、ゴルフコースでの行動が、その人の人生のあり方を示している事が多いのではないかと思っているのです。父はゴルフと人生には多くの共通点があると言っていました」
ポールは、しばし、ゴルフと人生の関係について考えてみたが、今はどちらもうまくいっていないと思った。もしかしてマリガンが必要かもしれないと思った。
デービスは、ポールに「オールド・プロ」と呼ばれている人生のコーチを紹介した。
自尊心を他人に奪われない
ポールはクラブハウスに向かい、オールド・プロと呼ばれる老人に会う。そこで、オールド・プロは言った。
「もし人生とゴルフの両方で成功したければ、自分の価値というものを自分の実績や他人の意見に奪われないようにしなければならない。自分の価値観や自尊心が、自分がどれだけうまくできたかとか、周囲の人間から聞こえてくる賞賛や批判に左右されるような事がないようにしなくてはならない」
人生とはすべて人間関係である
ポールは「人生はすべて関係なのだ」とオールド・プロが言っていた事を思い出し、この成功への執着が、自分を取り巻く様々な関係にどう影響してきたのか考えてみた。息子との関係に深く影響している事は明白だった。もう2年間会っていない。
オールド・プロは言った。「私は神様の事がとても好きだ。実は彼がマリガンを発明したのだよ。彼はセカンドチャンス、つまり『やり直し』の機会を与えてくれるんだ。そのマリガンは、ゴルフのマリガンと同じように効き目がある。マリガンはお金で買う事はできないし、自分が勝手に使えるものでもない。一緒にプレーする人から与えてもらわなければならないものだ。神はいつでも私達のパートナーになってくれる」
「つまりゴルフは一人でプレーするものではないし、人生も一人で生きていけるものではないという事ですね」とポールは頭を整理しながら言った。
人間が最初に犯した罪は、自分の一生は自分でコントロールしたいという思いなのだ。
人生をうまくするには、一日をゆっくり始めるという事に尽きる。一日の初めに、今日やるべき事にフォーカスしてみるのだ。障害というものは、自分が進んで行きたい方向に導いてくれる道標だと思えばいい。