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2013/03/27更新

社長は少しバカがいい。~乱世を生き抜くリーダーの鉄則

  • 鈴木喬
  • 発刊:2013年1月
  • 総ページ数:256P

153分

7P

  • 古典的
  • トレンドの
  • 売れ筋の
  • すぐ使える
  • 学術系
  • 感動する
  • ひらめきを助ける
  • 事例が豊富な

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社長に必要なのは「運」と「勘」と「度胸」だ

『消臭ポット』『消臭力』などのヒット商品で知られるエステー会長の経営哲学。戦後、焼け野原となった日本の貧しい時代を生き抜き、その後家業であるエステーの社長に就任する。バブル崩壊後、経営危機にあったエステーでリストラを断行し、『消臭ポット』の大ヒットにより、企業を立て直してきた体験を語っています。


■社長は少しバカがいい
経営者の使命は、売上、利益、株価を上げる事だ。但し、最終ゴールはそこではない。会社が生き残る事がゴールだ。生き残ればそのうちまたいい事もある。そして、社長がニコニコしてれば、大抵の危機は通り過ぎていく。

もしも、とんでもない事が起こったとしても、もう一回、戦後の焼け野原に戻るだけの話だ。そこから、何度でも始めればいい。会社の1つや2つ創ってやるよって、腹をくくれば力も湧いてくる。経済が悪いだの、国が悪いだの、深刻な顔してゴチャゴチャ言っててもしょうがない。そんな暇があったら、ホラでも吹いて笑ってた方がいい。もっと元気だそう。社長は、少しバカなくらいがいいんだ。

超短要約

■大ボラを吹け
商品の売上を決めるのはネーミングだ。だから、衆知を集めて・・・、となりがちだ。しかし、それが間違っている。会議をやると、どうしても参加者のバランスをとってしまい、無難なネーミングしか生まれない。「消臭ポット」を考えた時は四六時中考え続けた。だけど、一人で考え続けていると行き詰まってくる。だから、しょっちゅう社員を連れて飲みにいき、そこで大ボラ吹きまくった。「この商品は絶対に売れるぜ」とか言って、思いつくままにアイデアを口にする。すると、それまで思い浮かばなかったようなネーミングも出るようになる。「消臭力」のネーミングも、居酒屋で社員を相手にホラを吹きまくっていた時にポンッと閃いたのだ。

もちろん、ホラだけ吹いてもアイデアには出合えない。それは単なる「思いつき」だ。足を運んで店頭を知り尽くし、マーケティングをして、徹底的にロジカルに考える。ロジカルに考えた事を腹に落としたら、忘れてしまう。その上で、アイデアを考え続ける。

■「運」と「勘」と「度胸」を磨け
「消臭ポット」の年間販売目標は1000万個と掲げた。役員会では全員が反対した。当時、消臭芳香剤は5年間で1000万個売れれば、ヒット商品と見られていた。しかし、リスクを伴う高い目標を掲げる事によってこそ、社員の危機感と底力を引き出す事ができると考えた。

役員会の了承を取り付けないまま、全社朝礼でこうとぼけた。「今日の朝方、枕元に女神が出てきましてね。『消臭ポットでエステーは救われる』とのお告げがあった。だから、年間販売目標は1000万個にしようと思う」

会場にどよめきが起こった。「このおっさん、またはったりかましてるわ」社員の顔には、当惑の表情と「あきれた」という表情が交錯していた。その隙をついて、「何が何でも達成する!絶対にやり遂げる!」と言ってさっさと退場した。これで「年間販売目標1000万個」は既成事実となった。もちろん「お告げ」などない、大ボラだ。

全社朝礼の後すぐに全国の支店を回り、営業マン達を直接激励した。その間、毎日何万回も自己暗示をかけた。「売れる、売れる、売れる」。仕事で結果を出すために大切なのは、究極のところ熱意に尽きる。どこまで本気で「売れる」と思い込めるか。

「消臭ポット」は売れに売れた。社員の見る目も変わった。「このオッサンは言い出したら聞かない。でも、無茶苦茶言うけど、ついていけばなんとかなるんじゃないか」。そんな空気が生まれたのだ。

経営には、常に博打の要素がある。どんなに理屈で考えても決断できない選択を迫られる事がある。難しい顔をして考えていたって博打には勝てない。社長に必要なのは「運」と「勘」と「度胸」なのだ。

著者 鈴木喬

1935年生まれ。エステー株式会社 取締役会議長兼代表執行役会長 今でいう日用品のディスカウンターをしていた鈴木千蔵の四男として東京で生まれる。戦争にかり出された兄たちにかわり、小学生のころから家業を手伝う。東京大空襲で店を焼かれ、焼け野原のなか父のゼロからの再出発を支えた。 東京都立新宿高等学校を経て、1959年一橋大学商学部を卒業。すでに、父と兄がエステー化学工業を設立していたが、「もっと広い世界で活躍したい」と日本生命に入社。40代で法人営業部を立ち上げ、年間契約高1兆円以上のトップセールスマンとして活躍。 1985年にエステーに出向。企画部長や営業本部首都圏営業統括部長などを経て、経営が苦境に陥った1998年に社長就任。バブル期に膨らんだ「負の遺産」を大リストラするとともに、新商品開発を年間1点に限定。失敗の許されない状況で、全社の反対を押し切って発売した「消臭ポット」を大ヒットさせる。その後、「消臭力」「脱臭炭」「米唐番」などヒットを連発。社員数500人の「世界のニッチトップ企業」として、巨大グローバルカンパニーと戦う企業へと成長させた。 2007年に社長を退任し会長に就任するも、リーマン・ショック後の危機を打開するため2009年に社長に復帰。現在は代表執行役会長を務める。

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章の構成 / 読書指針

章名 開始 目安 重要度
はじめに p.4 4分
第1章 社長は社長をやれ。 p.23 28分
第2章 社長はカッコつけるな。 p.81 20分
第3章 社長は「人間」を知り尽くせ。 p.123 35分
第4章 社長は心意気をもて。 p.197 24分
あとがき p.248 4分

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