自分をコントロールする「意志の力」は、筋肉のように疲労したり、回復したり、鍛えられるものだと提唱している心理学者が、科学的な知見をもとに、意志力とは何かを解説。
■自己コントロール能力は人生の成功の鍵
心理学的に、人生で「うまくいく結果」を予見させる資質を探ると「知能」と「自己コントロール能力」の2つに行き着く。今のところ知能を高めて維持する方法は、わかっていないが、自己コントロール能力を高める方法は見つかっている。
衝動買いや借金、暴力、成績不振、アルコールや薬物の乱用、運動不足、友人を失う、離婚などの大部分は、主に自己コントロール能力の不足が原因で生じる事がわかってきた。
■意志力とは何か
「自我(エゴ)消耗」は、人の思考や感情や行動を規制する能力が減る現象を指す。人は精神的疲労に勝てる事もあるが、意志力を発揮したり決断を下したりする事でエネルギーを使い果たせば、やがて誘惑に負けてしまう。
自我が消耗すると、自己を制御する上で極めて重要な脳の部位である前帯状皮質の働きが鈍くなる。脳の動きが鈍ってエラー検出能力が低下し、反応をコントロールするのが難しくなる。その結果、自我を消耗した人は、感情だけでなく欲望も強く感じるようになる。つまり、意志力を弱めると同時に、欲望をそれまで以上に強く感じさせる。
意志力には、2つの教訓がある。
①意志力の量には限りがあり、それは使う事で消耗する
②すべての種類の行動に用いられる意志力の出所は1つである
何を成し遂げようと思っていても、この2つの教訓を認識する事から始まる。意志力の供給は限られていて、その同じエネルギーを多くの違った事に使っている。1日の始まりには、夜ぐっすり寝て、健康的な朝食をとっていれば、新鮮な意志力がたっぷりあるかもしれない。しかし、それは1日に起こる様々な事で削り取られていく。
いかに意志力が消耗するかは、本能的にすぐわかる事ではない。夕飯に何を食べるか、休暇にどこへ行くか、誰を雇うか、いくら使うか。これらすべてに意志力が必要だ。仮定の話として決めるだけでもエネルギーを消耗する。難しい決定をいくつか行った後は、自己コントロール能力が弱まっている事を忘れるべきではない。
著者 ロイ・バウマイスター
フロリダ州立大学社会心理学部 教授 心理学者として世界で最も研究成果の引用が多く、影響力があるひとりとして知られる。「意志力の科学」の国際的リーダーであり、「意志力=筋肉」説の提唱者。
著者 ジョン・ティアニージャーナリスト 『ニューヨーク・タイムズ』紙をはじめ、多数のメディアに寄稿。その優れた活動により、アメリカ科学振興協会、ニューヨーク出版協会などの賞を受賞。
PRESIDENT (プレジデント) 2013年 8/12号 [雑誌] |
帯 ハーバード大学社会心理学部教授 ダニエル・ギルバート |
帯2 ペンシルベニア大学ポジティブサイコロジーセンター長 マーティン・セリグマン |
帯3 デューク大学教授 ダン・アリエリー |
帯4 ハーバード大学心理学教授 スティーブン・ピンカー |
帯5 ジャーナリスト スティーヴン・J・ダブナー |
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
日経トップリーダー |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
はじめに 幸せと成功の鍵 | p.8 | 17分 | |
第1章 意志力とは何だろう? | p.30 | 21分 | |
第2章 意志力のもとになるエネルギーを高める | p.57 | 22分 | |
第3章 計画を立てるだけで効果あり | p.85 | 27分 | |
第4章 決定疲れ | p.119 | 19分 | |
第5章 自分を数値で知れば、行動が変わる | p.143 | 15分 | |
第6章 意志力はこうして鍛える | p.162 | 16分 | |
第7章 探検家に秘訣を学ぶ | p.182 | 25分 | |
第8章 特別な力 | p.213 | 19分 | |
第9章 能力を伸ばすのは、自尊心より自制心 | p.237 | 27分 | |
第10章 ダイエットせずに減量を成功させる | p.271 | 23分 | |
結論 守りよりも、攻めの戦略を | p.300 | 24分 |
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