知識や情報がコモディティ化した今は、行動のみが競争優位の源泉になると説く。経営コンサルタントとITベンチャー企業社長が、自らの経験を語りながら、行動によって格差が生まれる時代に必要な8つの力を紹介しています。
■行動格差の時代
日本企業に勢いが乏しいのは、技術や戦略、知識の問題ではない。明らかに「行動」で劣っているからである。成熟という名の下で、我々はガツガツする事を嫌い、手抜きに慣れ、動きが極端に鈍くなっていった。
今から30年前、ビジネスにおいては「知識」が極めて有効だった。経営における合理的で、先端的な知識を持っている事が勝負を決する「知識格差」の時代だった。その次に訪れたのが「情報」だった。どれだけ有効な情報をタイムリーに手に入れるかという「情報格差」が企業の命運を握った。これもインターネットの普及と発達によって、情報そのものがコモディティ化し、一般的な情報だけではもはや勝てない時代になった。
そして、今我々が迎えているのは「行動格差」の時代である。交通と通信の発展によって小さくなった地球の上で、どれだけ俊敏に動き回り、市場と競争のリアリズムを肌で感じながら、素早い意思決定と実行ができるかどうかが、競争力の源泉となっている。
人は「知識を得ること=インプット」のみで成長する事は不可能だ。本来、「行動・実践する=アウトプット」によってしか成長しないものだ。
人は学んだ事を活かして、現実の中で「アウトプット」しようとする。当事者として行動すれば、自ずと結果という現実に向き合い、多くの壁にぶち当たる。そんな当事者としての行動の繰り返しの中にこそ真の「成長」があるのだ。「インプット」のみで成長したつもりになっているのは安易な現実逃避だ。
何もしない、何も動かない、といった「停滞」の方が失敗よりも遥かに不幸でネガティブな事だ。失敗は成功への小さな過程でしかない。しかも必須の道標だ。失敗したくないから動かない、これが一番の「失敗」なのだ。
「行動格差の時代」には、行動する者は多様な可能性を獲得し、本質的に成長しながら前進する。一方で行動しない者は、ますます視野が狭まり、溢れる情報に惑わされ、行動しない者同士が安易に群れて傷をなめ合い、無責任な評論と価値のない「つぶやき」に時間を奪われ、さらに行動する事から遠ざかる。
著者 遠藤 功
1956年生まれ。早稲田大学大学院商学研究科(ビジネススクール)教授 株式会社ローランド・ベルガー日本法人会長 大学での教職、経営コンサルティング活動に加え、講演、研修、執筆など多方面で活躍している。
著者 山本 孝昭1965年生まれ。株式会社ドリーム・アーツ代表取締役社長 1988年大学卒業後、アシスト入社。1993年インテルジャパン入社。家庭用パソコン市場拡大戦略の立案・実施を担当。1996年、ドリーム・アーツ設立。
TOPPOINT |
帯 一橋大学名誉教授 野中 郁次郎 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
はじめに | p.3 | 3分 | |
第1章 行動し、挫折するから強くなる! | p.17 | 10分 | |
第2章 挫折を活かす「8つの力」 | p.37 | 66分 | |
第3章 行動するときが来た | p.165 | 14分 | |
おわりに | p.192 | 2分 |
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