今後20代、30代の一人暮らしは減り、代わりに高齢者のおひとりさまが急増する。高齢化と個人化が進む日本では、今後どういった消費行動が起こるのかを予測しています。これからのマーケティングを考える上でヒントとなる1冊。
■増え続ける一人暮らし世帯
一人暮らし世帯数:2010年1679万世帯 → 2035年1846万世帯
夫婦と子供の世帯数:2010年1477万世帯 → 2035年1153万世帯
2035年には一人暮らし世帯の方が、夫婦と子供の世帯数の6割も多くなる。結婚しない人、子供を産まない人、子供が独立した人、夫や妻と死別・離別した人などが増えるため「夫婦と子供の世帯」は減り、一人暮らし世帯が増え続けていく。
2010年で一人暮らし世帯が一番多いのが、20代で合計約300万世帯を超える。それから30代が約260万世帯。しかし、今後は20、30代の一人暮らし世帯が減り、代わって45歳以上が増える。50歳以上の中高年全体では372万世帯増えて、1211万世帯になる。一人暮らし世帯の2/3が50歳以上なのである。また、一人暮らし世帯が人口に占める割合は、2035年には16.5%になる。
「超おひとりさま社会」化における消費の大きな特徴は、もちろん個人化である。孤独化とも言える。一人暮らし、一人でご飯を食べる人が増えていく。しかし、それと並行して、一時的にみんなと一緒に暮らしたり、毎日ではないが皆と一緒にご飯を食べたり、というようなライフスタイルも増えていくと思われる。それは、「シェア型消費」と名付けてきたタイプの消費行動が増えるという事である。
家族が住む住宅にリビングルームがあるように、地域社会の中における地域住民が交流するリビングルームのような場所を「コミュニティリビング」と言う。今後は医療、福祉、日常生活の視点からだけでなく、教育、文化、芸術、生涯学習という視点からも、新しいコミュニティリビングを考案し、提供するべき時代が来ている。そうした新しい生活こそ、これから日本人が買いたいものであろう。
著者 三浦 展
1958年生まれ。マーケティング・アナリスト、消費社会研究家 マーケティングリサーチやマーケティングプランニング、コンサルティング等の受託業務等を行う株式会社カルチャースタディーズ研究所代表取締役。 団塊ジュニア世代、団塊世代などのマーケティング調査、家族、階層、都市などの研究を踏まえ、新しい時代の予測、社会デザインの提案を行っている。
日経ビジネス Associe (アソシエ) 2013年 06月号 [雑誌] |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
第1章 老若男女すべて「おひとりさま」 | p.17 | 8分 | |
第2章 おひとりさま消費の現状 | p.35 | 20分 | |
第3章 おひとりさまは何が欲しいのか | p.81 | 28分 | |
第4章 コミュニティという商品を買う時代 | p.147 | 23分 | |
あとがき | p.200 | 2分 |
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