超おひとりさま社会
一人暮らしとは限らないが、未婚の中高年という意味での「おひとりさま」も増える。未婚者の総数は2010年も2030年も約3020万人で、ほとんど変わらないが、40歳以上の未婚者が増えるのである。未婚・死別・離婚を合計すると、2030年は全年齢で4911万人。人口の半数近くが「おひとりさま」になる。
2030年以降の日本社会は、一人暮らしが1800万人以上、未婚・死別・離婚の合計が4911万人という「超おひとりさま社会」になるのである。しかも、一人暮らし世帯の65%ほどが50歳以上である。
それにつれてライフスタイルも、消費のスタイルも変わっていく。一人暮らしが消費の中心となる。大きな特徴は個人化である。
おひとりさまの消費傾向
一人暮らしの消費傾向を分析すると、消費者の年齢差、男女差が小さくなっていく傾向がある。
・シニア男性は「若者化」
・シニア女性やミドル女性は「アクティブ化」
・ミドル男性は「おうち志向化」
・若年男性は「主婦化」
・若年女性は「男性化」
そういう意味では、老若男女に共通のニーズに応える商品は、巨大なヒット商品になる可能性がある。ユニクロやセブンイレブンのPB商品はその一例であろう。
また、高齢者には物志向がまだ根強く残っているが、ミドル女性には物志向よりもサービス志向が強まっている。若年男女も消費支出の中でサービスの割合が6割ほどを占めており、こうした消費のサービス化の傾向が、今後次第に高齢者にも広がっていく。
おひとりさまは何が欲しいのか
一人暮らしのおひとりさまに必要なものは、一言で言えば「ケア」である。ケアとは、面倒を見る、世話をする、手当てをするといった意味である。
①食生活
・中高年男性も外食・コンビニ依存度が高まる
・中高年女性は食品の安全性に関心が高い
・中高年女性で食品宅配サービスが拡大する
・おふくろの味は不滅。安価な家庭料理が求められる
・下ごしらえ済みの食材へのニーズが高い
②健康管理
・女性はかかりつけの医者を持ちたいニーズが高い
・女性はマッサージのニーズが高い
・人間関係の広がりを重視。シェアハウスのニーズが高まる
③住生活
・40〜50代のおひとりさまの持ち家率が3割台から4割くらいになる可能性がある
・一人暮らし世帯用の安っぽい賃貸住宅の需要が減少する
・親から継いだ家のリノベーションのニーズが拡大する
超おひとりさま社会では、人と人のつながり、ケアが重視される事は間違いない。だから、地域社会やコミュニティを作り直し、つながりを阻害する要因を除去していく必要がある。