スタンフォード大学大学院で教えられてきた「良い製品、悪い製品」という講義がまとめられたもの。製品の品質は、性能や価格だけでなく、様々な要因にとって決まるとし、品質に関して問題を提起しながら、よい製品とは何かを思索させる1冊。
■品質向上を妨げるもの
ビジネスを成功させるには、製品品質が非常に重要だ。製品品質を高める事は、社員の誇りや満足、同時に企業の評判を高める。だが短期的利益を上げたいと思えば、製品化にかかる時間を短縮し、設計・製造コストを抑える事によって費用を減らすという方法がある。結果的に品質を下げる事につながる。品質低下をもたらすアメリカの一つの伝統は、一つの製品をどこまでも大量に生産したがる事だ。大量生産に執着するのには、規模の経済という最もな理由がある。
製品品質の観点からいえば、経済理論には困った欠陥がある。経営者は製品がいくら利益を生み出すかを知る事ができても、ブランド、広告、製品品質にいくらの勝ちがあるかを具体的に知る事はできない。品質を高める製品特性にお金をかけようとしない理由である。
工業製品の全体的な品質について、これまで以上によく考える事が重要である。一定の生活水準が確保され、基本的欲求が満たされていると仮定すれば、企業利益や消費者の幸福は量だけでなく質に依存する。
製品品質の鍵を握る7つの領域は次の通り。
①パフォーマンス、コスト、価格
②人になじむ製品
③クラフツマンシップ
④製品、感情、欲求
⑤美、エレガンス、洗練
⑥象徴性、文化的価値観
⑦地球という制約
これらは企業が製品をどのように打ち出し、差別化するかの大きな決め手でありながら、ほとんど分析される事もない。これらの問題を理解し、品質の高い製品をつくることが、我々の問題の多くを解決する事になる。
著者 ジェイムズ・L・アダムズ
スタンフォード大学機械工学部、経営科学工学部 名誉教授 一時期UCLAでアートを学び、米国空軍に勤務し、企業数社で設計や開発の仕事を経験後、博士課程を修了する。教職員としてスタンフォード大学に戻る前には、カリフォルニア州パサデナにあるJet Propulsion Laboratoryに勤務し、最初の月・金星・火星探査機の設計に携わる。
帯 経営学者 ジム・コリンズ |
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
第1章 製品と品質―品質はどのように考えられてきたか | p.1 | 15分 | |
第2章 品質向上を妨げるもの―偏った狭い考えと慣習 | p.21 | 24分 | |
第3章 パフォーマンス、コスト、価格―それは「お買い得」か | p.53 | 17分 | |
第4章 人になじむ製品―問われるヒューマンフィット | p.75 | 27分 | |
第5章 クラフツマンシップ―つくり手の喜び、使い手の喜び | p.111 | 23分 | |
第6章 製品、感情、欲求―好き?嫌い?それともつまらない? | p.141 | 30分 | |
第7章 美、エレガンス、洗練―経験によって得る見識 | p.181 | 24分 | |
第8章 象徴性と文化的価値観―我々は何者なのか | p.213 | 20分 | |
第9章 地球という制約―製品が地球と人類に及ぼす影響 | p.239 | 24分 | |
第10章 結論―本書で学んだこと、今後すべきこと | p.271 | 5分 |
シリコンバレーの中心に位置するスタンフォード大学の講義まとめ。 科学者や技術者に起業家精神とはどう…
競争優位のイノベーション―組織変革と再生への実践ガイド [Amazonへ] |
インターネットはからっぽの洞窟 [Amazonへ] |
となりの億万長者―成功を生む7つの法則 [Amazonへ] |
EQ こころの知能指数 (講談社プラスアルファ文庫) [Amazonへ] |
喜びはどれほど深い?: 心の根源にあるもの [Amazonへ] |
エモーショナル・デザイン―微笑を誘うモノたちのために [Amazonへ] |