すべては<場>に呑み込まれる
これまで先進国では、企業のウチとソト、国民国家のウチとソトというようにウチとソトの関係をいくつも重ね、常にウチは豊かになり、ソトの富を奪っていくという構図をつくっていた。しかし、テクノロジーの革命は、このウチとソトという構図を破壊しながら進行している。
インターネットはウチとソトの壁を壊し、ただ1つの<場>のようなものをつくり、その<場>はすべての人々に開放されて、無限に広がっていく。そこでは<場>を運営する側とされる側という新しい支配関係が生まれる。国民国家という古い権力支配が終わり<場>という新しい権力支配が始まっている。
・音楽:レコード会社 → iTunes
・書籍:出版社 → Amazon
・コンピュータ:大型コンピュータ → Windows、Google、Apple
・ものづくり:大量生産 → 家内制工業
・お金:銀行 → ソーシャルファイナンス
・コミュニケーション:電話・FAX・メール → LINE、facebook
・政府・自治体:行政 → Gov2.0
・教育:学校 → カーンアカデミー、TED
レイヤー化する世界
<場>は、単なる新しい権力というだけでなく、人と人の関係、人と権力の関係を根もとの部分から変えてしまう。
レイヤーは「重ね合わせているもの」という意味。これからの新しい世界システムでは、ケーキが収まった化粧箱のようなウチとソトを分ける壁ではなく、レイヤーによって上下をスライスして分けていく考え方に変わっていく。レイヤーにはウチとソトという概念がない。
<場>の権力は、レイヤー構造を支えている土台であり、同時に自らも1つのレイヤーである。<場>の中では、私たち1人1人もレイヤーによってスライスされていく。国籍、職業、出身地、趣味のレイヤー。それらのレイヤーで横にすぐにつながる事のできる関係が<場>における人間関係となっていく。そのようなレイヤーごとの人間関係の積み重ねによって、個人は社会に存在できる。
新しい世界システムで生きていくための方法
レイヤー化した<場>の世界でよく生きていく戦略は2つ。
①レイヤーを重ねたプリズムの光の帯として自分をとらえること
様々なレイヤーで、他の人たちや他の会社、他の部分としなやかにつながっていく。その様々なつながりの総体として自分をつくりあげていく。
②<場>と共犯しながら生きていくということ
<場>はテクノロジーそのものである。時にはfacebookでありGoogleである。そういうテクノロジーを使いこなし、<場>を利用し、<場>に利用される。常に<場>は人々を管理し、支配するが、それを承知の上で<場>のテクノロジーを利用していく。