真面目だが積極性に欠ける「ゆとり世代」の特徴を分析しながら、彼らを伸ばすコツを紹介する。「ゆとり世代」というレッテルを貼られ、自信がない彼らをやる気にさせる秘訣が書かれています。
■真面目で消極的な今どきの若者
今どきの若者は「驚くほど伸びる」。但し、放っておいても伸びない。付き合い方をガラリと変える必要がある。
そもそも「ゆとり世代」はさぼり世代ではない。むしろ、出された宿題は必ずやってくる。ただ問題は、過剰な情熱というものを持たない事だ。若者の側から「これは自分にやらせてほしい」などと食ってかかってくるような事がまずない。例えば大学の30人のクラスでも「誰か発表してくれ」という言い方をすると、手を挙げる者はまずゼロである。
彼らとしては「突出して恥をかきたくない」という心理がある。それに、周囲から「あいつ、何がんばっちゃってるの?」と積極性を冷やかされる事も避けたいらしい。あるいは、「人が通った道でなければ危なくて通れない」という慎重さも持ち合わせている。昔は「積極的」で「いい加減」な学生が多かったのに対し、今は「消極的」で「真面目」な者が多い。おかげで世間からはエネルギー不足と見られてしまう。
■若者との異文化コミュニケーション術
・上からの圧力より、横からの刺激で動く
今の若い人は「公」より「私」の優先順位が圧倒的に高い。上下の1対1の約束は、意外に簡単に破られる。今は師弟関係よりも、友人同士の横のつながりの方が強い。友人が頑張っていれば自分も頑張るし、仲間の多くがクリアした事は自分もやらなければまずいと考える。だからこそ、「周囲のみんながやっているから、自分もやらなきゃ」という同調圧力を効果的に使う。
・競争原理が働く仕組みを用意する
指示を出すなら、能力や資質に頼らないようにする事が重要だ。やらなければゼロだが、やれば誰でもできる、という形で課題を提示する。この時に「質は問わない」こと。それを条件にすると「レベルが低いと恥をかく」と考えて、提出を見送るおそれがある。とりあえず指示通りの結果を出させ、全員の結果を持ち寄り、どれが優れているか議論させれば、次は質の高いものを出そうと頑張る。
・フランクでオープンな態度をとる
部下が嫌う上司のパターンとしては「自己顕示欲が強い」「部下の仕事を自分の成果にする」「ミスをなかなか認めない」などが挙げられる。ミスをしたら「自分のミスだ」と率直に謝ればいい。そういうフランクでオープンな態度の上司を、部下は信用する。
・傷つかないための予防線を壊す
若者の特徴の1つが、常に傷つかないための予防線を張ろうとする事だ。若者たちは自分の実力が晒される事を苦手とする。恥をかきたくないという思いが極めて強い。だからこそ「言われていないことはできない」「マニュアルに書いてもらわないと困る」という話になる。対策は、まず上司・先輩が部下の手本となること、そして部下に逐一指導する事だ。上司・先輩の予防線のなさを見せるのが最も手っ取り早い。
・腹を割って話す必要はない
今の若者は、上司との間に濃い人間関係を築きたいと思っていない。彼らは常に適度な距離感を保ちたいのである。たとえどれほど上司が飲み屋で熱く語ったとしても、若い部下にはさほど響かない。自分の時間を干渉された事になるからだ。
・部下を見守る姿勢をとる
上司に必要な要素として「部下をずっと見守る姿勢」が挙げられる。簡単に記録しておき、機会を見つけては、以前より変化した点について「あの時のこれは良かったよ」「ずいぶん成長したね」などと声をかける。
著者 齋藤 孝
1960年生まれ。明治大学文学部教授 教育スタイル論の提唱者として知られ『声に出して読みたい日本語』が260万部を超えるベストセラーとなり、同著で毎日出版文化賞特別賞受賞。 その後、専門の教育学、日本語教育学などの書籍からビジネス書、コミュニケーションを基礎とした関連書籍を多数執筆。
THE 21 (ざ・にじゅういち) 2013年 09月号 [雑誌] |
日経ビジネス Associe (アソシエ) 2013年 09月号 [雑誌] |
日経ビジネス |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
第1章 コツを掴めば、今の若者は驚くほど伸びる | p.11 | 13分 | |
第2章 若者たちは意外にがんばれる | p.39 | 18分 | |
第3章 日本の組織には、「褒めコメ」が足りない | p.77 | 17分 | |
第4章 若者との“異文化”コミュニケーション術 | p.113 | 13分 | |
第5章 タイプ別・「困った若者」の処方箋 | p.141 | 16分 | |
第6章 若者たち自身が考える、「若者のトリセツ」 | p.175 | 10分 | |
あとがき | p.195 | 2分 |
文明化の過程〈上〉ヨーロッパ上流階層の風俗の変遷 (叢書・ウニベルシタス) [Amazonへ] |
学習する組織――システム思考で未来を創造する [Amazonへ] |
世に棲む日日 (1) (文春文庫) [Amazonへ] |
9割がバイトでも最高のスタッフに育つ ディズニーの教え方 [Amazonへ] |
職場活性化の「すごい!」手法 (PHPビジネス新書) [Amazonへ] |
マネジメント[エッセンシャル版] - 基本と原則 [Amazonへ] |