ハーバード・ビジネス・スクール出身のジャーナリストが、世界中のセールスマンと会って見つけた営業という仕事の本質を描く。
■セールスとは
アメリカでは、セールスについて二通りの考え方が根強く対立している。1つは、ものを売る事に秀でていれば、社会階級や身分や育ちによる障害を乗り越える事ができるとするものだ。この考え方によると、優秀なセールスマンであるからには、その人に他者を引きつける能力、勤勉さ、信頼があるという事で、そのような人物は何をやっても成功するだろうという。それと対極にあるのが、セールスは屈辱であり、企業の卑しい目的のために人間の尊厳を踏みにじる行為だというものだ。
僕らはセールスと無縁でいられない。人生の選択の多くは結局、売り込むか、売り込まれるかに行き着く。セールスは、人生につきものの拒絶と許容の試練以外の何物でもない。自分が信頼されているのか、インチキ野郎だと思われているのかを目の前に突きつけられるのだ。売り込み、説得し、奉仕する能力は、自分のアイデンティティーと切っても切り離せないものだ。
何かを売ろうとすれば、嫌でも本当の自分と向き合う事になる。お金のためにどこまでならできるのか? 友達付き合いと仕事上の関係をどこで線引きするのか? こうした問いに正解はない。ただ、その問いにどう答えるかで、自分が何者であるかが決まり、成功できるかが決まる。
一流のセールスマンは皆、自我が打ち鳴らす鐘の音を鎮め、失敗も成功も平常心で受け入れながら、セールスに取り組んでいる。だからといって、彼らは個性をすべて排除して、売り込み用ロボットになろうというわけではない。反対に、この仕事につきものの不信や駆け引きを超えて、その本質を理解しようとしているのである。真実に向き合い、禅の境地を保とうとする心構えこそ、偉大なセールスマンのしるしなのだ。
ジャーナリスト 大学卒業後、デイリー・テレグラフの記者として25カ国以上で報道に携わる。同紙パリ支局長を経て、2006年にハーバード・ビジネス・スクールでMBA取得。 その後、アップル、カウフマン財団でライターとして勤務し、現在はフリーのジャーナリスト。 最初の本である『ハーバード ビジネススクール――不幸な人間の製造工場』はニューヨーク・タイムズのベストセラーとなり、フィナンシャル・タイムズとUSAトゥデイの「ビジネスブック・オブ・ザ・イヤー」に選ばれる。
日経トップリーダー |
Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー) 2014年 01月号 [雑誌] |
帯 ライフネット生命保険 副社長 岩瀬 大輔 |
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
序 章 世界を動かしているのはセールスだ! | p.5 | 13分 | |
第1章 拒絶と失敗を受け入れる | p.23 | 19分 | |
第2章 ストーリーと共感力で売り込む | p.49 | 30分 | |
第3章 生まれつきか、経験か | p.91 | 31分 | |
第4章 教祖と信者 | p.135 | 40分 | |
第5章 誰にでもチャンスはある | p.191 | 23分 | |
第6章 芸術作品を売るということ | p.223 | 19分 | |
第7章 仕事と自我を切り離す | p.249 | 21分 | |
第8章 複合的な才能 | p.279 | 33分 | |
終 章 ものを売る力と生きる力 | p.325 | 31分 |
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